Category Archives: 狭山事件入門

狭山事件入門: 「となりのトトロ」と狭山事件

どうやら、「『となりのトトロ』は狭山事件を下敷きにした、亡くなった被害者姉妹に対するオマージュを込めたお話である」という都市伝説があるようです。「狭山事件 となりのトトロ」でググって当サイトを訪問されている方が結構いるので調べてみたら、そういう都市伝説があるらしいということを知りました。

そもそも「狭山事件」を知らない方に簡単に説明しておくと、こんな感じです。

狭山事件とは、昭和38年(1963年)5月1日に16歳の女子高校生が誘拐されて殺された事件である。
1日夜に被害者宅に脅迫状が届き、5月2日深夜に被害者の姉が指定場所に身代金を持って行った。警察は指定場所のまわりに40人以上を動員して包囲網を布いたが、その真ん中に犯人が実際に現れ、姉と会話をしたにも関わらず取り逃がしてしまった。
被害者の遺体は5月4日に畑に埋められていたのを発見された。遺体は頭の上に玉石が置かれるなど奇妙な埋められ方をしていた(切り刻まれてはいない)。
3週間後に被差別部落出身の石川一雄さんが逮捕されて有罪(1審は死刑、2審は無期懲役で確定)とされた。しかし、現在も冤罪を訴えて再審請求している。

まず最初に言っておくと、当然ですが狭山事件とトトロの間には一切共通点はなく、都市伝説として流れているものはすべて曲解か明らかな誤りです。一応念のため下記に事実関係をまとめておきます。

* 検索してここへいらした方へ。せっかくですから、狭山事件入門も覗いていってください。

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狭山事件入門: 死亡推定時刻

被害者の死亡時刻については、「狭山事件を推理する」サイトに詳細な検討があります。私(管理人)としても全面的にその内容を支持していますので、そちらをご参照ください。

「狭山事件を推理する」内「法医学問題の決着」

以上、終わり。……だとあまりにも素っ気ないので、一応要点だけまとめておきます。詳細については上記リンク、ならびに内容検討である

もご参照ください。

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狭山事件入門: 遺体発見

『狭山事件公判調書 第二審』より『狭山事件公判調書 第二審』より

『知っていますか?狭山事件一問一答』より『知っていますか?狭山事件一問一答』より 被害者の遺体の状態

5月2日深夜(5月3日午前0時過ぎ)にさのヤで犯人を取り逃がした刑札は、5月3日午後7時のNHKニュースで事件の発生を一般報道し、公開捜査に切り替えました。しかし、実際は5月3日の午前中から地元の消防団員なども動員した大規模な山狩りが開始されており、実質的には3日から既に公開しているも同然の状況だったようです。

そして、5月4日午前10時30分、山狩りの消防団員が被害者の遺体を発見しました。場所は入間川駅(現狭山市駅)にもほど近い畑の中の農道でした。狭山事件関連地図もご参照下さい。

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狭山事件入門: 事件関係地図

狭山市詳図(1966年、人文社刊) その1狭山市詳図(1966年、人文社刊) その1

狭山市詳図(1966年、人文社刊)狭山市詳図 その2

上の地図は、1966年(狭山事件が発生した1963年の3年後)発行のものです。以前のエントリでも論じたように、この時点で「狭山東中」になっていた中学(現在の入間川東小の位置)を「入間川中」という古い表記にしているなどいくつかの問題はありますが、私(管理人)がこれまで見つけた中では一番当時に近いと思われる地図です。現在の地図(例えばGoogle Map)と比べて見て下さい。

赤字の注記はすべて管理人が入れたものです。縮尺的には、その1の方は右端の方にある被害者宅から佐野屋までが直線距離でちょうど1kmくらいです。その2の方では、入間川駅(現狭山市駅)から三柱神社(荒神さま)までだいたい250~300mくらいです。

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狭山事件入門: 2ちゃんねるオカルト板での推理・議論

狭山事件に関して、2ちゃんねるオカルト板に立てられていたスレでかなり濃い議論が展開されていました。実を言うと、私(管理人)がこの事件に興味を持ったのもこのスレが発端だったりします。

というわけで、とりあえず過去ログをHTML化して上げておきます。一番の見所は、1スレ898氏の「伯父さん」から聞いたという話です。これは、狭山事件フリークの作り話だとしても良くできていて一読に値します。

「狭山事件入門」入り口はこちら

狭山事件に関する本はこちら

狭山事件入門: 「PTA会長」について

身代金受渡しで重要な役割を演じた人物の一人に、狭山事件フリークの間で通称「PTA会長」と呼ばれている木材販売店主、MH氏がいます。この人は、被害者が卒業した堀兼中学校で教育振興会会長(生徒が卒業後も会長を務めることができるよう、PTAではなくこう呼んでいた)を務めており、息子が被害者と中学で同級生で生徒会長、被害者が副会長だったことから被害者とも顔見知りでした。

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狭山事件: 入門編の身代金受渡しに関する補足

サンケイ新聞昭和38年5月4日付朝刊サンケイ新聞昭和38年5月4日付朝刊

例によって補足です。

今回引用した記事に、失敗の経緯がかなり詳しく書いてあります。

  • 2日午前0時(1日深夜)にも20人規模の刑官がさのヤに張り込んだ
  • 3日午前0時(2日深夜)の犯人取り逃がしの際、次姉が犯人と押し問答になったときに、次姉のそばにいた刑事が懐中電灯を振り回して「犯人発見」の合図をした
  • その合図を見て、向かいにいた刑事が「犯人逮捕」の合図である呼び子を鳴らした
  • 呼び子を聞いた刑事たちは呼び子の方に殺到し、その間に犯人はゆうゆうと逃げた

ただし、これが定説というわけではなく、次姉やPTA会長の裁判での証言に「呼び子が鳴った」という話が出てこないところから、「呼び子は鳴ら(さ)なかった」という説も有力です。

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狭山事件入門: 吉展ちゃん事件

前回のエントリで解説した事件の発端について、末端の交番から県刑本部長に情報が上がるまでが早すぎるとか、その程度の情報で県刑本部長のようなエラい人がわざわざ現地に、しかも勤務時間外の6時過ぎに来るのはおかしい、と感じる人もいるかもしれません。しかし、当時の刑札には「誘拐」に関して非常に敏感にならざるを得ない理由がありました。

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