Monthly Archives: 12月 2010

津山事件: お礼

冬コミ無事終了いたしました。

お買い上げならびにブースにご来訪いただいた皆様、誠にありがとうございます。改めてお礼を申し上げます。おかげさまで、予定以上の売上を上げることができました。もし内容についてご指摘等ありましたら、本ブログのコメントか、blog@flowmanagement.jp宛メールにていただけると幸いです(「@」を半角に変更してください)。本ブログのコメントは承認制となっておりますので、公開を希望しない私信の場合には、その旨冒頭にお書きいただければ非公開扱いとさせていただきます。
ご要望の多い通販につきましては現在準備中です。内容決まり次第改めて告知させていただきますので、少々お待ちください。

ここ数ヶ月津山事件の方にかかりっきりでしたが、年が明けてから改めて狭山・下山の方も取り組んでいきたいと考えております。今後とも当ブログをよろしくお願い申し上げます。

それでは、よいお年を。

 

津山事件: 冬コミ告知 その6

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たびたびすいません。今回で本当に告知は最後です。
本が出来上がってきました。感慨深いものがあります。読み返すといろいろ修正したいところもありますが、それはまた次回以降の課題ということで。

以下、今回追加した論考の一部です。

第3章 都井睦雄
小学校入学以前
 都井睦雄の戸籍謄本を「津山事件報告書」から引用しておく。
 戸籍によると睦雄は大正6年(1917年)3月5日に加茂町倉見で生まれたとされている。という言い方をするのは、当時の戸籍の届け出はかなり適当だったようであるからだ。例えば睦雄の父母の死亡年月日も、後で詳しく論ずるが墓石の記載と戸籍の記載に食い違いがある。
 私が個人的に睦雄の出生日に多少の疑義を感じるのは、例の「小学校の入学を1年遅らせた」という話にある。「津山事件報告書」には、小学校の担任教師のコメント一覧が掲載されているが、尋常小学校一年生で睦雄を担任した藤田かや子教諭をはじめ、誰も1年遅れという点に触れていない。また、西加茂尋常高等小学校校長からの公式回答にも「就学が1年遅れた」という記載がない。もし筑波本にあるように祖母が無理に1年就学を遅らせたのであれば特筆されるのではないかと思う。

コミックマーケット79
場所: 東京ビッグサイト: ゆりかもめ「国際展示場正門前」駅またはりんかい線「国際展示場」駅下車
出展日: 12月31日(金)(3日目)10:00~16:00
東Q-50b「事件研究所」

販売物:

  • 『津山事件の真実(津山三十人殺し)』事件研究所編著
    A5版350ページ、販売価格3,900円
    付録: 津山事件報告書(昭和14年、司法省刑事局編著)
  • 『狭山事件-46年目の現場と証言』伊吹隼人著(風早書林)
    販売価格1,000円(委託販売)
  • 『決戦―豊島一族と太田道灌の闘い』葛城明彦著(増補改訂・自費出版版)
    販売価格1,000円(委託販売)

津山事件: 冬コミ告知 その5

ようやく脱稿しました。何とか間に合いそうです。最終的に全350ページになります。うち、付録である津山事件報告書の方が240ページ以上を占めています(笑)。

同じブースにて、下記の2点を受託販売します。

  • 伊吹隼人著: 狭山事件-46年目の現場と証言(風早書林)
  • 葛城明彦著: 決戦―豊島一族と太田道灌の闘い(自費出版版)

前者は言わずとしれた「伊吹本」の旧版です。新刊(社会評論社版)の方が増補された部分がありますので、今から新規で買うのであればもちろん新刊の方をオススメしますが、まあコレクターズアイテムということで。後者はそのつながりでご紹介をいただいた、同じ出版社(風早書林)から出ていた別の著者の本の、自費出版版です。Amazonなどでもかなり評価が高いようなので、歴史に興味がある方は是非ご確認ください。いずれも特別価格1000円にて販売予定です。

念のため、最終告知です。
コミックマーケット79
場所: 東京ビッグサイト: ゆりかもめ「国際展示場正門前」駅またはりんかい線「国際展示場」駅下車
出展日: 12月31日(金)(3日目)10:00~16:00
東Q-50b「事件研究所」

『津山事件の真実(津山三十人殺し)』
A5版350ページ、販売価格3,900円
付録: 津山事件報告書(昭和14年、司法省刑事局編著)

コメントの方でご質問をいただいた通販に関しては、現在検討中です。決まり次第告知します。いずれにしても年明け以降で、かなり時間がかかるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。

 

津山事件: 冬コミ告知 その4

相変わらず原稿書いてます。本にしようと思って原稿を書くのはなかなか難しいものですね。

冬コミについて告知です。

コミックマーケット79
場所: 東京ビッグサイト: ゆりかもめ「国際展示場正門前」駅またはりんかい線「国際展示場」駅下車
出展日: 12月31日(金)(3日目)10:00~16:00
東Q-50b「事件研究所」

津山事件本を販売します。
A5版300ページ程度(予定)、予定価格3,900円
付録: 津山事件報告書(昭和14年、司法省刑事局編著)

  • 印刷部数が少ないため、高めの価格設定になっています。同人誌とはそもそもそういうものですので、ご理解をいただけると幸いです
  • 被害者の写真など一部の図版については、コミケの規定や東京都の条例を考慮して割愛する予定です。文句がある方は石原都知事にどうぞ(笑)。それ以外の文章部分に関しては、原本をほぼそのまま丸ごと収録予定です。作業が膨大になるため、特に墨塗り等は行いません
  • 本ブログで発表済みの論説の再録が中心です。ただし、新規の論考も加えています

当日は委託販売も行う予定です。委託販売本については後ほど告知します。

コミケにいらっしゃったことがない方へ: 大変混み合う場所ですが、礼儀正しいオタクの方々の集まりなので、基本的に怖いことや危ないことはありません。ただ、当日(3日目)は男性向けエロ系同人誌が中心です。そういう方面に免疫がない方は心の準備をお願いします。時間帯によって入場制限もあるため、いらっしゃる場合には充分な時間的余裕を持っておいでください。

 

津山事件: 昭和13年当時の銃規制について

こちらの記事で戦前の銃規制について書きましたが、もっと詳しい記載が『津山事件報告書』の守谷芳検事の論文にありましたので、いろいろな方面で参考になるのではないかと思い、引用しておきます。

猟銃が拳銃短銃等と共に銃砲火薬類取締法に所謂非軍用鉄砲の一種であることは同法の解釈上疑がない。然るに同法施行規則は拳銃短銃仕込銃等に就てのみ厳格な規定を設けているが猟銃に就ては何等規定する処がない。従って之が授受運搬等に就ては何等の制限がない。鉄砲火薬商は何人に対しても何等の手続も警戒もなさずに猟銃を譲渡する。而して警察の許可があれば勿論のことだが狩猟期間中狩猟免許証の提示さえあれば、雷管付薬莢は二千発まで、弾丸に使用する火薬は一回に一貫三百匁以内(四、八七五瓩)を自由に販売し得る実情にある。(中略)此の一回の制限量は裕に実弾千発を発射することができる。而して本件犯行に使用された弾丸の鉛の如きは単なる鉛塊であって何等警察取締の対象でない。之を要するに猟銃に対する警察取締は、狩猟免許を為すに際し相当厳重な身許調査を為すこと及一狩猟期間中に於ける使用残火薬は警察官を臨検検査せしむるに止る様であるが之のみを以ては甚不十分であると思う。

銃砲火薬類取締法自体を読む限りでは製造・販売業者のみを対象とするように読めましたが、施行規則の方で拳銃や短銃に関しては個人の購入・所持などにも規定があったようです。しかし、いずれにしても猟銃や、弾丸・薬莢の購入・所持はほとんど野放しで、身分証明書の呈示すら求められませんでした。火薬も、狩猟免許さえ持っていれば1回に5kg近くも普通に購入できたとのことで、戦前の日本で手製爆弾や手製の火砲によるテロ事件が起きなかったのはなぜか、逆に疑問になるくらいです。

守谷検事はこの点について「私は現在の爆発物取締罰則、銃砲火薬類取締法に基く諸法令並狩猟法等では甚不十分で可及的速に猟銃及之に使用する火薬に就て相当厳重な取締規定を制定すべきだと考える」と述べています。
その後、戦前にそのような銃器所持規定の厳格化が行われたかどうか、私(本ブログ管理人)は法学の専門家でないので存じ上げません。ただ、この文章が書かれた1939年(昭和14年)は既に日中戦争が本格化しており、その後中学校でも三八式歩兵銃を使用した軍事教練が課されていくようになっていく時代状況の中では、そのような厳格化は行われなかったのではないかと思います。

いずれにしても、1938年(昭和13年)3月の警察による手入れでいったん銃や火薬、狩猟免許まで取り上げられた後、5月の事件までの2ヶ月程度で睦雄が再武装を完了できた背景には、戦前の日本における銃規制がかなり緩かったことが影響していることは間違いないでしょう。