世界大量殺人ランキング

以前、Wikipediaの利用者ページに草稿を書いた内容です。しかし、Wikipediaでこれを投稿すると即「要出典」→削除になることは間違いないので、こっちの方に移動しておきます。


大量殺人事件に関するメモ。英語版WikipediaのUser:Knulclunk/massacreを参考に作成した。ただし、一部は独自調査。ここで大量殺人(mass murder, massacre)とは、以下のような条件に合致するものを指す。

  1. 戦争による大量虐殺ではない。
  2. 1人、あるいは数名の犯行によるもので、組織だった犯行ではない。
  3. 数時間から、長くても数日の間に犯行が行われた。(数ヶ月、あるいは数年にわたって犯行が行われたものは、通常「連続殺人(serial killer)」と呼ばれる)
  4. 爆弾テロや放火ではなく、銃や刃物等による犯行であること。
    • この条件で微妙なものにバス・スクール事件(en:Bath School disaster)がある。1927年にアメリカ(ミシガン)で起こった事件で、学校の評議員であったアンドリュー・ケホーが、学校施設の充実のために財産税を課すことが決定されたことに腹を立てて、学校に数百キロものダイナマイトと火薬を仕掛けて爆発させ、45人を殺害、58人に重軽傷を負わせたもの。「テロ」とも言い切れないが、「大量殺人」というのもちょっと合わないか。

犠牲者(死者)数>古い順でソート。死者数に犯人本人(自殺した場合)を含まず。

ちなみに、オーストラリアやイギリスでは事件が起こった後ライフルの規制を強化する方向に進んだのに対して、アメリカではルビー・カフェテリア事件後に護身用拳銃所持を許可する方向に進んだというのが、お国柄というか興味深いところ。
顔写真を見る限りでは、意外にいい人っぽいふいんき(なぜか(ry)の人が多いのにも驚かされる。

  名称 死者数 負傷者数 場所 犯人 備考
1 2011 ノルウェー連続攻撃事件 69 (77) 66 (96) ノルウェー アンネシュ・ブレイビク
AndersBBreivik
世界最大の犠牲者を出した事件となった。犯人は2つの事件を連続して起こした。1つめはオスロにある政府機関ビルに対する爆弾テロ、2つめは小島にキャンプで集まっていた若者に対する銃乱射事件である。2つの事件を合わせた犠牲者数は死者77、負傷者96だが、このランキングの定義上爆弾テロは外して考え、銃乱射による死者69、負傷者66のみを本事件の記録とする。しかし、それでも史上最悪の事件である。
2 1982 禹範坤による大量殺人事件
(宜寧事件)
57 35 大韓民国 禹範坤
禹範坤
津山事件の後、30年近く「世界最悪」の座を保持し続けた事件。犯人は現職の警察官で、凶器は警察の武器庫から持ち出したカービン銃と手榴弾。最後は人質3人を巻き添えに手榴弾で自殺した。死者数にはいくつかの説(56、58、61人など)がある。
3 1996 ポートアーサー事件 35 37 オーストラリア マーティン・ブライアント
マーティン・ブライアント
オーストラリア・タスマニアのレストランやその駐車場、少し離れた山荘などでAR-15アサルトライフルを乱射。事件後、ミリタリータイプのアサルトライフルの輸入・販売を禁止する法律ができた。犯人は逮捕され、現在も終身刑で服役中。ブライアントのIQが66しかないこと、未だに動機がはっきりしないことなどから、「真犯人は別にいる」説、「すべては銃器規制推進派の陰謀だ」説などもささやかれている。
4 2007 バージニア工科大学銃乱射事件 32 17 アメリカ(バージニア) 趙承熙
チョ・スンヒ
趙承熙
大学の寮と教室で拳銃を乱射。犯行後自殺した。犯行の前に、TV局に予告ビデオを送りつけていた。なお、犠牲者数はVirginia Tech Review Panelの公式報告書に記載されたもの。このほかに、逃げようとして転んだりしてケガをした人が6人いる。
5 1938 津山事件 30 3 日本 都井睦雄
都井睦雄 Mutsuo Toi
長い間、大量殺人事件の世界記録だった。犯人は犯行後自殺した。詳しくはこちらを。
6 1994 マクペラの洞窟虐殺事件 29 125 イスラエル バールーフ・ゴールドシュテイン
0000294024-012
マクペラの洞窟に集まっていたムスリムを無差別に銃撃。どちらかというと「大量殺人」よりは「テロ」の部類に入るか。
6 1986 カンポ・デルガード事件 29 12 コロンビア カンポ・エリアス・デルガードCampo_Elias_Delgado 講師として働いていた塾の生徒とその母親、自分の母親、近所の住民、行きつけのイタリアンレストランの客などを、ナイフとリボルバー拳銃で殺害。犯人は現場で警官隊に射殺されたため、動機などは不明のままだった。
8 2012 サンディフック小学校銃乱射事件 27 2 アメリカ(コネチカット) アダム・ランザAdam_lanza_sandy_hook_shooter 自分の母親を自宅で射殺した後、小学校に乗り込んで銃を乱射。児童20人と教師6人を殺害した。
9 1991 ルビーカフェテリア事件
en:Luby’s massacre
23 20 アメリカ(テキサス) ジョージ・ヘナード
ジョージ・ヘナード
カフェテリアに車で突っ込み、中にいた客や従業員を次々に拳銃で射殺した後自殺した。この事件の後、テキサス州では護身用拳銃の携帯を認める法律ができた。
10 1984 マクドナルド事件
en:San Ysidro McDonald’s massacre
21 19 アメリカ(カリフォルニア) ジェームズ・ヒューバティ
ジェームズ・ヒューバティ
自分をクビにしたマクドナルドに乗り込み、ウージー短機関銃などを乱射。家を出るとき、妻に「ちょっと人間を狩ってくる」と言い残した。SWAT隊員に射殺される。
11 2016 相模原市障がい者施設殺傷事件
19 26 日本 植松聖植松容疑者 障がい者施設に深夜に侵入し、当直の職員を縛って動けなくした上で、入所者の首をナイフで切りつけて殺害。容疑者は施設の元従業員で、「障がい者は税金の無駄でいなくなればいいと思った」と動機を述べている。事件を起こす前に衆議院議長に対して手紙を送っており、その中で具体的に対象施設名を名指しするとともに手口まで書いて、その通りに事件を起こした。銃および爆発物を使用しない条件では、おそらく世界で最悪の事件。
12 1996 ダンブレーン事件
en:Dunblane massacre
17 14 スコットランド トーマス・ハミルトン
トーマス・ハミルトン
小学校に乗り込み体育館や教室で拳銃を乱射。生徒16人と教師1人を射殺した後自殺した。
13 1987 ハンガーフォード事件
en:Hungerford massacre
16 15 イングランド マイケル・ライアン
マイケル・ライアン
道路を移動しながら途中の家の庭にいた人やガソリンスタンドの店員などをAK-47ライフルなどで無差別に射撃。自分の母親を含む16人を殺害。最後は自分が卒業した中学校に立てこもった後自殺した。事件後、ミリタリーライフルの輸入販売を禁止する法律ができた。
13 1987 ロナルド・ジーン・シモンズ事件 16 4 アメリカ(アーカンソー) ロナルド・ジーン・シモンズ
ロナルド・ジーン・シモンズ
クリスマスで集まってきた家族14人(自分の妻、子供たち、息子の妻、孫など)をピストルで、あるいは首を絞めたり、水に頭を沈めて殺した。その後外出して、以前口説いたが拒絶された法律事務所の受付嬢など2人を射殺、4人にケガを負わせた。駆けつけた警官に銃を渡し、抵抗することもなく逮捕された。シモンズには死刑判決が出たが、控訴を希望しないと宣言した。死刑は1990年に執行された。
13 2002 エルフルト事件
en:Erfurt massacre
16 不明 ドイツ ロベルト・シュテインハウザー
ロベルト・シュテインハウザー
自分を退学にした学校に乗り込み、忍者の衣装に着替えて拳銃を乱射。教師など学校関係者13人、学生2人、警官1名を射殺した後自殺した。
16 1966 テキサスタワー乱射事件 15 31 アメリカ
(テキサス)
チャールズ・ホイットマン
Whitman1963Yearbook
母親と妻を殺害した後、大学のタワーに乗り込んで受付嬢や見学者を射殺、さらには下を通りがかった人々を次々に射撃した。犯人は地下水道から入り込んだ警官によって射殺。
16 2009 ヴィネンデン学校乱射事件
(en: Winnenden school shooting)
15 2 ドイツ ティム・クレッチマー
TimKretschmer
犯人は17才。自分の出身校(実業学校)に乗り込んで生徒9人と教師3人を射殺した。さらに逃走途中に3人を射殺、警官2人に重傷を負わせた。
18 2015 サンバーナーディーノ銃乱射事件 14 17 アメリカ(カリフォルニア) サイード・ファルク
タシュフィーン・マリク
パキスタン系ムスリムである夫妻が、職場の研修会兼懇親会の会場で銃を乱射した事件。夫妻はISIL(イスラム国)に忠誠を誓っており、ISILも「ISIL支持者によるテロだ」と声明を出している(なので、厳密に言うとこのリストの定義に合わないが、犯人が少数であるので掲載)。犯人の夫妻は警察により4時間後に射殺。後に、夫妻の友人で、銃を購入した人間がテロ支援罪で逮捕されている。
18 1989 エコールポリテクニーク事件
en:Ecole Polytechnique massacre
14 14 カナダ マーク・レピヌ 「フェミニズム反対」を叫んで女性ばかりを狙って銃を乱射した。犯人は自殺。
18 1986 エドモンド郵便局事件 14 6 アメリカ
(オクラホマ)
パトリック・シェリル 郵便局員。自分が働いていた郵便局の同僚を次々に銃で射殺した後自分に銃口を向けて自殺。この事件の後、「go postal」(いきなりものすごく怒り出して暴れ出すこと)というスラングができた。
18 2001 ツーク事件
en:Zug massacre
14 不明 スイス フリードリッヒ・ライバヒャー 市議会で銃を乱射。議員14人を射殺し、多くの議員とジャーナリストに負傷を負わせた。犯人は自殺。
22 1913 ワグナー事件 13 12 ドイツ エルンスト・ワグナー 妻と娘4人を殺害した後電車と自転車で近くの村に行き、そこで銃を乱射、逃げ出してきた人々を射殺した。津山事件の際に引き合いに出された。詳細はこちら。事件後、ワグナーは精神病院に収容されてそこで25年を過ごし、一生を終えた。その間ずっと、「死刑にしてほしい」と希望し続けていた。
22 1999 コロンバイン高校銃乱射事件 13 24 アメリカ
(コロラド)
エリック・ハリス
ディラン・クレボルド
高校の生徒。校内に爆弾を仕掛け、銃を乱射した後自殺。45分間の凶行だった。
22 1983 ワーミー事件
en:Wah Mee massacre
13 1 アメリカ
(シアトル)
クワン・フェイ・マク
ワイ・チウ・ング
ベンジャミン・ング
ワーミーギャンブルクラブ(中国系。非合法の麻薬や売春も行われていた)において、客(地元の金持が多かった)14人を撃ち、そのうち13人を死亡させた。マクには死刑の判決が下ったが、その後執行は延期され続けている。
22 1990 アラモアナ事件
en:Aramoana massacre
13 不明 ニュージーランド デビッド・グレイ 犯人は無職のガンマニア。近所の子供たちや通行人を次々にライフルで射殺した。最後は警官に射殺された。

2008年2月28日更新:ロナルド・ジーン・シモンズを追加
2009年4月6日更新:マクペラの洞窟虐殺事件とヴィネンデン学校乱射事件を追加
2011年7月31日更新:ノルウェー連続攻撃事件を追加
2012年12月22日更新:サンディフック小学校銃乱射事件を追加
2015年12月20日更新:サンバーナーディーノ銃乱射事件を追加
2016年8月10日更新:相模原市障がい者施設殺傷事件、カンポ・エリアス・デルガードを追加

津山事件に関する本はこちら

14 thoughts on “世界大量殺人ランキング”

  1. 前々から見て思っていましたが、カンポ・エリアス・デルガドなる人物がベネズエラにおりまして、確実に上位に入る被害者を出しているかと思います。
    http://www5b.biglobe.ne.jp/madison/murder/text3/delgado.html

    スペイン語wikipediaによると、死者は一日で29人。もちろん単独犯です。
    https://en.wikipedia.org/wiki/Campo_El%C3%ADas_Delgado

    ベネズエラでは映画化もされているという情報を得たのですが、なぜかこの手のサイトには上がってこないので、情報提供させていただきます。

  2. 情報ありがとうございます。確かに当方が設定している条件に合っているようですね。また後ほどアップデートしたいと思います。

  3. 日本でも19人の死者が出る大量殺人事件が起こってしまいましたね。

    1. 銃・爆弾等なしで、刃物だけで19人というのは、当方が知る限りでは確かに世界記録ではないかと思います。

  4. これいかがでしょう
    注射で「患者100人殺した」元看護師が語った動機、「蘇生させ、称賛浴びたかった」https://www.huffingtonpost.jp/2018/10/31/niels-hogel_a_23576483/

  5. 京都の放火殺人、死者が1人増えて45人になりました。
    これも追加対象ですか?

    1. 放火はランキングに入らない
      4.爆弾テロや放火ではなく、銃や刃物等による犯行であること。
      放火の場合対策されちゃうと死者数が稼げないので純粋に犯人の責任かと言われると微妙なところというのがある

  6. これはランキングに入らないのでしょうか?

    2016年ニーストラックテロ事件(2016ねんニーストラックテロじけん、英:2016 Nice truck attack[9]、または2016 Nice attack)は、2016年7月14日(現地時間)にフランスの南部・ニースの遊歩道プロムナード・デ・ザングレにおいて、花火の見物をしていた人々の列にトラックが突っ込んだ事件[10]である。フランスの検察当局はテロ事件として捜査[11]。この事件により少なくとも84人が死亡し、202人の負傷者が出た[1][5]。

  7. 放火はランキングには入れられていないようですが、Whiskey Au Go Go fire(オーストラリア、1973年、15人殺害)や、ニューヨークのハッピーランド放火事件なども相当数の犠牲者を出していますね。

  8. アジアでの事件はあまり載せられていないようですが、中国なら千島湖事件、建国門事件などがかなりの犠牲者を出した事件です。

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