Category Archives: 下山事件

下山事件: 試験紙によるpH測定

下山事件において、東大裁判科学教室の秋谷教授が持ち出した「pHによる死後経過時間の推定」については、これまでも何度か批判的な記事を書いてきました。これから数回にわたって、この件についてより詳細なご報告&ご説明をしたいと思います。

まず、ジャブ程度に、以前に書いたエントリでご説明した、「試験紙法で0.2pH単位の精度を確実に出すのは実際には不可能」という内容をより具体的にご説明します。

この実験動画をご覧下さい。

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下山事件: 「全研究下山事件」サイト 発足

旧「下山事件自殺説紹介ブログ」さんがリニューアルされ、「全研究下山事件」サイトとして新たに発足したとのことです。現在のところ工事中のページが多いのですが、従来のブログという形式では難しかった資料性を向上させていきたいとのことで、期待しています。

サイトは↓こちらのバナーをクリックしてください。

現在またまた私(管理人)が海外出張中なので、簡単ですがご紹介まで。

追記: (予告)下山事件関係については最近あまり内容があるエントリを書くことができていませんが、近々かなり大きな内容を掲載する予定です。ご興味がある方は是非引き続き継続して当ブログもご確認いただきたく、よろしくお願いします。

下山事件: 日本医事新報の古田莞爾論文について

「下山事件自殺説紹介ブログ」さんの方で、掲題論文の話題が再度採り上げられています。

先日、別件で行った図書館に「日本医事新報」の昭和32年版があったので、古田論文が存在するかどうか確認してみました。しかし、上記の自殺説紹介ブログエントリで指摘されているとおり、昭和32年2月にも7月にも、矢田喜美雄氏が『謀殺 下山事件』で誇らしげに引用するような古田氏の論文(詳細は注を参照してください)は存在していませんでした。

念のため書いておくと、私が当該雑誌を確認したのは岡山大学図書館鹿田分館(岡山大学医学部内)です。当該図書館に収蔵されていたのは「日本医事新報」の3ヶ月合冊版で、3ヶ月ごとに目次が作成されていました。その目次と、2月・7月分(週刊なので何冊分か)の本文をざっと確認しましたが、古田氏が著者としてクレジットされている文章は見つかりませんでした。

「自殺説紹介ブログ」さんの以前のエントリへのコメントにも書いたように、私個人はこの「古田論文」の話は矢田氏のデッチアゲであろうと考えています。昭和32年の「日本医事新報」を出典にあげているのも、国会図書館で欠号になっているためにデッチアゲがばれにくいと判断したからでしょう。

柴田氏がどこまでこの件の裏付け調査を行ったのか不明です。しかし、もし古田氏の論文の実在を確認した上で当該文章を書かれたのであれば、是非とも正確な出典をご呈示いただきたいと思います。そのような出典のご呈示をいただき、古田論文の実在が確認された場合には、「デッチアゲ」と呼称したことを含めてお詫びして訂正させていただきたいと思います。

(注)古田論文について詳しくは自殺説紹介ブログさんのこのエントリを参照してください。要するに、下山事件で機関車にゼリー状の血痕が付着していたことを根拠に生体れき断説を唱えた名古屋大学の小宮教授について、小宮教授の後に名古屋大学医学部法医学教室教授になった古田莞爾氏が

昭和三十二年二月号の「日本医事新報」には下山事件のゼリー状血痕についてふれ、総裁が生体、死体(列車に轢かれる三時間以内に殺されていた場合)のいずれで轢かれても、血液が固まったものが発見されてもおかしいことはない。つまり下山事件の自、他殺問題は、このゼリー状血痕を証拠にして議論するのは誤りであることを報告した。

と激しく批判したと、矢田喜美雄氏が『謀殺 下山事件』で引用している論文です。矢田氏によると、古田氏は

私たちが小宮先生の追跡研究をしているうちに小宮先生は死亡した。いま考えると、先生は学者がしてはいけない政治への介入を自ら犯してしまったように思う。

とも語ったとのことです(笑)。

下山事件: 佐藤一氏の新刊

またしても下山事件自殺説紹介ブログさんの虹紹介ですいません。

自殺説の集大成である『下山事件全研究』の著者で、先日亡くなった佐藤一氏の遺稿ともいえる新刊が出版されるそうです。

「版元ドットコム」の内容紹介を見る限り、本格的に「平成三部作」へ反論を加えた本になるようです。祥伝社文庫版『謀殺 下山事件』復刻版『下山事件全研究』とともに、下山事件に興味がある方にとっては必読書になると思います。

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下山事件: 『下山事件全研究』復刊へ

下山事件自殺説紹介ブログさんの方に情報がありました。
7月中に復刊されるようです。詳しくはこちらの情報を。
http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nrs/DMone.html#one14

言わずと知れた、下山事件の自殺説に関する研究の最高峰ともいえる本です。多少価格は高いようですが、なにしろ分厚い本ですし、内容にもそれ以上の価値があることは保証します。まだ読んでいないという方は、是非この機会に一読をおすすめします。

ちなみに、著者の佐藤一氏の訃報をお伝えしたエントリで、ご逝去の日付を間違えていました。謹んでお詫びして訂正いたします。

下山事件: 週刊朝日2009年7月17日号の記事 その2

今回の週刊朝日の記事で、最悪なのは以下の部分です。

さらに、矢田氏は、自殺説の根拠のひとつとされる、下山総裁らしき人物の目撃証言を洗い直してもいる。警視庁の捜査記録に掲載された23人をあらためて訪ねたところ、証言者たちは「調書の内容はデタラメだ」と口々に話した。

この後に「あの男は下山さんとは関係ない別人だといまでも確信しています」という証言が引用されています。

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下山事件: 週刊朝日2009年7月17日号の記事 その1

下山事件から60年ということで、週刊朝日に記事が出たことをコメントで教えていただきました。ありがとうございます。早速購入して読んでみました。署名によると担当記者は諸永裕司氏とのことです。諸永氏、週刊朝日編集部に戻っていたんですね。知りませんでした。

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下山事件: 事件発生から60年

60年前の今日の朝、下山総裁は三越で消息を絶ちました。ちょうど今頃(14時過ぎ)の時間は(本人か替え玉かが)末広旅館に来た頃ですね。

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下山事件: 佐藤一さんが逝去

『下山事件全研究』の著者、佐藤一さんが6月17日に87歳でご逝去されたとのことです。
http://www.jiji.com/jc/c?g=obt_30&k=2009061900003
謹んでお悔やみを申し上げます。

現在海外出張中なので、取り急ぎご報告だけ。

(7月21日追記: ご逝去の日付を間違っていました。大変失礼しました。訂正してお詫びいたします)

下山事件: 秋谷教授のpHによる死後経過時間判定

下山事件自殺説紹介ブログさんの方で、特別講演 PH・時間曲線による死後経過時間の判定というエントリが発表されました。

このエントリは、下山事件研究の上で非常に重大な意義を持っています。
秋谷教授のpH曲線による死亡時刻推定法に関しては、これまで通俗的に取り上げられることは多くても学問的な基礎は謎な部分が多く、活字になっているものは古畑教授の著書に掲載されたものくらいしかありませんでした。その中で、これまで伝説のように

第三十四次日本法医学会総会での秋谷氏によるpH時間測定法についての特別講演録(「PH・時間曲線による死後経過時間の推定」、日本法医学雑誌 第4巻3-4号、p185-190、昭和25年)

で秋谷教授がpH法について正式に学会発表している、ということだけが語られてきました。

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