下山事件: 週刊朝日2009年7月17日号の記事 その1

下山事件から60年ということで、週刊朝日に記事が出たことをコメントで教えていただきました。ありがとうございます。早速購入して読んでみました。署名によると担当記者は諸永裕司氏とのことです。諸永氏、週刊朝日編集部に戻っていたんですね。知りませんでした。

内容は特に目新しいところはありません。出だしとして、「伝説の記者が残した45分テープ」となっているので何かインタビューの録音テープでも発見されたのかと思ったら、昭和39年に放映されたテレビ番組の録音テープとのことです。吉田茂や加賀山之雄氏の言葉は確かに収録されていますが、当たり障りのない内容です。加賀山氏が当時から「他殺に違いない」と言っていたことも周知の事実です。

女将の夫はじつは、自殺説をとる捜査1課刑事の元同僚だったことが後にわかった。

女将の夫が元警官だったことは事件直後の昭和24年7月に当の週刊朝日が報道しており、その後も何度か書籍等で明らかにされています。「後にわかった」と、いかにも隠蔽されていたかのように書くのは、少なくともミスリードのそしりを免れないでしょう。

それから、

下山総裁の衣類には轢断事故にもかかわらず血痕がついておらず

なにより決定的なのは「血の道」だろう。(中略)血液付着の有無を調べる薬品「ルミノール」を手に入れると、轢断現場近くの線路に撒いて歩いたのだ。すると、46カ所、四つの血痕群が闇に浮かび上がった。

という話が一つの記事の中で両方紹介されています。
「血の道」ができるほどの出血があったのであれば衣類に血痕がついていないのはおかしいし、柴田氏の『最後の証言』に出てくるような「血抜き」で殺されたのであれば、「血の道」ができることがおかしいことになります。
以前から他殺説の本や記事にこの2つが同時に紹介されているのを「おかしいな」と思って読んでいるのですが、これだけ短い記事でこれをやるとは思いませんでした。誰も矛盾に気がつかなかったのでしょうか?

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