月別のブログアーカイブ: 12月 2007

下山事件: 諸永裕司氏のレトリック その5

『葬られた夏 追跡 下山事件』『葬られた夏 追跡 下山事件』

「諸永氏のレトリック」最終回です。ネタとしてはまだまだありますけど、キリがないし個人攻撃をしているように取られるのもイヤなので、この辺でいったん終了とさせていただきます。

本題に入って今回引用した画像についてですが、まず、そもそもの問題として、どうして「東大法医学教室の主任教授だった古畑」が色素の鑑定を担当したことになっちゃうんでしょうか。東大裁判化学教室や秋谷教授はどこに行っちゃったんでしょうか。その前のページ(133ページ)にも「この油について東大法医学教室が調べたところ、機関車や貨車に使われる鉱物油ではなく、最終的に米ぬか油だとわかった」となっていますが、医学部に所属する法医学教室が、なんで死体じゃなくて油の分析や鑑定をやらなきゃいかんのでしょうか。133ページの最初にはちゃんと「警視庁から東大裁判化学教室に持ち込まれた下山の衣類には」云々とあるんですが、どっかで法医学教室と裁判化学教室が入れ替わってしまったようです。

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下山事件: 諸永裕司氏のレトリック その3 下山総裁がタバコを1本も吸わなくなるまで

『葬られた夏 追跡 下山事件』『葬られた夏 追跡 下山事件』

前回引っ張りましたが、末廣旅館に現れた「下山総裁」がタバコを1本も吸わなくなるのには諸永氏のテクニック(笑)が一役買っていると思います。それ以外にも、今回引用した画像には諸永レトリックを堪能できる部分がいくつかあります。

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下山事件: 諸永裕司氏のレトリック その2

Wikipediaの「下山事件」の項目で、こんな内容が最近いったん除去されたのに復活されました。

強度の近視でヘビー・スモーカーの下山にも関わらず、旅館滞在中メガネを外し続け、タバコを一本も吸わなかったとの証言もある。

ご丁寧に、「編集内容の要約」欄にはこのようなことが書かれています。

削除された部分は、平成三部作に基づいているのではなく、矢田喜美雄『謀殺下山事件』や下山事件研究会『資料・下山事件』に述べられている事で、事実に反してなどいない。

しかし、実際のところ、『謀殺 下山事件』にも『資料・下山事件』にも、末廣旅館で総裁がメガネを外し続けていたとか、タバコを1本も吸わなかったなどという記述はありません。なんでそういうことになってしまっているんでしょうか?

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下山事件: 諸永裕司氏のレトリック その1

『葬られた夏 追跡 下山事件』『葬られた夏 追跡 下山事件』

今回からしばらく、「平成三部作」の最初のきっかけとなった週刊朝日の記事をメインで書き、その結果を『葬られた夏』という書籍にまとめた諸永裕司氏の叙述テクニック(笑)について見ていきたいと思います。

諸永氏がよく使うテクニックは2つあります。

  • 関係ありそうで、でも実は関係ない叙述を織り交ぜることで、読者に特定の方向の印象付けをする
  • よく読めば間違ったことは書いていないのだが、さらっと流し読むと間違った理解をしやすい文章を書き、しかもその「間違った理解」というのが他殺説に非常に都合がよい形になっている

これだけだとわかりにくいと思いますので、具体例を見てみましょう。

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下山事件: 「秋谷鑑定」 その7

週刊朝日 昭和44年9月19日号 週刊朝日 昭和44年9月19日号

週刊朝日の昭和44年9月19日号に、松本清張氏が「下山事件 幻の『謀略機関』をさぐる —ひとつの推理的結論—」という文章を寄せています。その中で、今回の画像のような文章を「秋谷鑑定」の内容として引用しています。時系列を確認すると、これは、昭和39年6月の衆議院法務委員会より後、昭和48年8月号(7月発売)の「文春秋谷鑑定」の発表より前、昭和44年8月の「資料・下山事件」の出版とほぼ同時期ということになります。

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下山事件: 自殺説について

ちょっと間が空いてしまいました。

下山事件の自殺説に関して考察しているサイトがありました。

http://shimoyamajiken.blog17.fc2.com/blog-entry-1.html 

こちらのサイトと異なり、下山事件の自殺説に絞って深く考察されています。現在は特に法医学関係に関しての考察を詳しく紹介していらっしゃって、非常に参考になります。松本清張氏がご存命であれば、これを見てもまだ「カンか科学か」って言い張るんでしょうかねえ。

現状で手に入る下山事件関係の書籍のほとんどは他殺説で、自殺説のものは手に入りにくく高価なので、「平成三部作」で下山事件に関して興味を持った方も、自殺・他殺の判断をする前に是非ともこういった情報収集をしていただきたいと思います。

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下山事件: 「秋谷鑑定」 その5

文藝春秋 昭和48年8月号文藝春秋 昭和48年8月号

先のエントリまでで見てきたように、この「秋谷鑑定」と称するものは東大裁判化学教室の秋谷教授が書いたものではないと考えます。では、誰が書いたものでしょうか。

そのヒントになる記述が、「文春秋谷鑑定」の冒頭(その前にある文章は松本清張氏の紹介文で、網掛けの囲みのところからが「文春秋谷鑑定」の本文になります)にあります。「尚以上の鑑定並びにこれに付随する物件の調査…(中略)…については地検、警視庁捜査二課或は化学関係監督官庁の協力活動が行われた。」となっています。

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下山事件: 「秋谷鑑定」 その4

『下山事件全研究』より 植物油の混入について『下山事件全研究』より 植物油の混入について

以前のエントリで引用した「文春秋谷鑑定」に関する疑問の続きです。当該の「文春秋谷鑑定」において、「D51-651油は少し値数が高いので鉱油であるか否かを鹼化値測定によって判断した。その結果はわずか一・八で現れ0に等しいことを認めた」という記述があります。当方も化学の専門家ではありませんが、いろいろな書籍を見る限り鉱物油であれば鹼化値は0、植物油であれば100~200という数値になるのは確かなようです。

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