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津山事件: 冬コミ告知 その5

ようやく脱稿しました。何とか間に合いそうです。最終的に全350ページになります。うち、付録である津山事件報告書の方が240ページ以上を占めています(笑)。

同じブースにて、下記の2点を受託販売します。

  • 伊吹隼人著: 狭山事件-46年目の現場と証言(風早書林)
  • 葛城明彦著: 決戦―豊島一族と太田道灌の闘い(自費出版版)

前者は言わずとしれた「伊吹本」の旧版です。新刊(社会評論社版)の方が増補された部分がありますので、今から新規で買うのであればもちろん新刊の方をオススメしますが、まあコレクターズアイテムということで。後者はそのつながりでご紹介をいただいた、同じ出版社(風早書林)から出ていた別の著者の本の、自費出版版です。Amazonなどでもかなり評価が高いようなので、歴史に興味がある方は是非ご確認ください。いずれも特別価格1000円にて販売予定です。

念のため、最終告知です。
コミックマーケット79
場所: 東京ビッグサイト: ゆりかもめ「国際展示場正門前」駅またはりんかい線「国際展示場」駅下車
出展日: 12月31日(金)(3日目)10:00~16:00
東Q-50b「事件研究所」

『津山事件の真実(津山三十人殺し)』
A5版350ページ、販売価格3,900円
付録: 津山事件報告書(昭和14年、司法省刑事局編著)

コメントの方でご質問をいただいた通販に関しては、現在検討中です。決まり次第告知します。いずれにしても年明け以降で、かなり時間がかかるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。

 

その他: 伊吹氏の新連載開始

伊吹隼人氏の新連載が、なぜか「ナックルズ」本誌ではなく「ナックルズ・ザ・タブー」の方に掲載されたとのことです。
ちなみに、「ナックルズ・ザ・タブー」はナックルズ本誌とは異なりB5変形版(ナックルズ本誌より小さい)なので、書店で探すときは注意してください(私も見つからなくて迷いました)。

13歳の少女の「失踪」事件に関するルポです。伊吹氏のルポ自体はいつものとおりの伊吹節なのですが、編集の方で「こういう事件を起こす奴がいるから児童ポルノが厳しくなる」という形で児ポ法関連特集記事の中にはさみ込まれていて、正直ちょっと違和感があります。
現在の児童ポルノ法改正案の問題点は、いわゆる「非実在青少年」が描かれた作品、ならびにその単純所持を罰するかどうかという点にあるわけで、13歳の実在の少女を誘拐する事件とはいわば無関係です。まあ、そういう理論付けをするまでもなく、特集の中でちょっと異質になってしまっているのは一読して明らかですが。

繰り返しになりますが、伊吹氏のルポ自体は、現地での取材を含めたかなりの力作だと思います。ここで詳細を書くのは差し控えますので、機会があればご一読ください。

狭山事件: 鎌田本文庫化

本件、こちらのコメントで教えていただきました。

2004年の鎌田慧さんの本『狭山事件-石川一雄、四十一年目の真実』が岩波現代文庫から再版されるとのことです。個人的には、この本が岩波というメジャーな出版社から再版されることで、再審へ向かっての世論の関心がさらに高まることを期待します。

これまで何度も取り上げていますが、「狭山事件」という用語には大きく分けて2つの意味合いがあります。

  1. 昭和38年に起こった女子高生殺人事件
  2. その殺人事件の容疑者として石川一雄さんが逮捕され、有罪とされた冤罪事件

「狭山事件を推理する」サイトでも取り上げられている通り、伊吹さんの新著を上記1.の方面からの最高峰とすれば、鎌田本は2.の方面からの一つの到達点と言えるでしょう。もし「狭山事件」について何も知らないという方がいて、事件の概要を知りたいということであれば、この2冊を読めば全体は見えると思います。

本の性格から考えてあとがきを含めた加筆部分はそれほど多くないと思いますが、単行本の版元であった草思社が民事再生になったこともあり、事件に興味はあるがまだこの本を読んでいないという方がもしいらっしゃれば、一度目を通しておいて損はないと思います。

 

狭山事件: 新伊吹本: 被害者の呼び出しについて

新・伊吹本を読みました。

旧版と比べてかなり加筆がされています。ページ数も213ページから271ページへ、27%アップしています。ただし、文字組が変わっていますので、文章量としてはそこまで増えていない感じです。感覚的には15~20%くらいの増量かな?

大きな加筆部分は下記の通りです。

  • 被害者の日記
  • 被害者の呼び出し
  • インタビュー
    • 安田先生(2回目)
    • 死体の第一発見者2人(1人は本人、1人は奥様): どうして「第一発見者」が2人いるのかについてはこちらこちらを参照してください
    • その他、近所の住民数人

特に大きなトピックとして、「本物の」第一発見者のインタビューがあります。場合によっては石川一雄さんの裁判にも影響があるかもしれない内容です。ここで内容について詳しく書くのは差し控えますので、興味がある方は直接本をご参照下さい。

もう一つのトピックは、被害者の呼び出しについてです。犯人が被害者にどうやって最初の待ち合わせを伝えたかについては、これまでの推理本ではあまり重視されていませんでした。長兄犯人説が主流であったため、家で直接話をすれば済む、という考えだったこともあるかと思います。また、刑札・検察は石川さんの通りすがりの犯行というシナリオを書いてしまったため、そもそも待ち合わせを想定していません。
しかし、当日被害者が誰かと待ち合わせしていたことは各種の証言からほぼ間違いないと思われ、その上で外部に犯人がいるという立場に立つと、犯人(あるいは犯人グループ)がどうやって被害者に待ち合わせの日時を伝えたのかというのはかなり大きな問題になります。

昭和38年当時、当然ですがケータイなどというものはありませんし、インターネットの掲示板もケータイメールも、もちろん出会い系もありません。自宅に有線電話はありましたが、そこへ電話して被害者自身が出るとは限りません。被害者に限らず女子高生は暗くなる前に家に帰るのが当たり前(というより当時、途中の道には街灯もなく、暗くなると大げさでなく家に帰れないような場所でした……このあたりは新伊吹本の安田先生のインタビューを読むとよくわかります)でした。そうなると、家の外で待ち合わせの計画を伝えられる場所と機会は自ずと限られてきます。

すいません。この先を書き始めたら思ったより長くなりそうなので、日を改めてまとめさせていただきたいと思います。
一つだけ書いておくと、私の推理は伊吹氏とは多少(それほど大幅にではありませんが)異なります。

狭山事件: 伊吹本再版へ

狭山事件を推理する-近況告知板にて、『狭山事件-46年目の現場と証言』が再版される旨の告知がありました。まずはご同慶の至りです。

12月予定とのことです。初版の発行日が2009年2月25日でほとんど書店に出回らずに絶版になってしまったため、ほぼ1年ぶりの再版ということになります。内容的にも増補が行われるとのことで、特に「新証言」に関しては本邦初公開になると思いますので、事件に興味がある方は是非読んでみてください。

狭山事件: 『狭山事件 -46年目の現場と証言』版元の社長がお亡くなりに

狭山事件を推理するサイトに、伊吹氏からの告知が出ました。27日朝、版元の風早書林の社長さんが急死されたとのことです。謹んでお悔やみを申し上げます。

本については、引き取り元がないとこのまま絶版になりそうとのことで、狭山事件研究という世界においては大きな打撃ですね。

出版社の社長さんの体調不良もあってなかなか流通がうまくいかないというお話しは以前から伺っていたのですが、このような形になってしまったのは非常に残念です。

(4月30日追記)一部で「また狭山事件関係者に変死者が」みたいな話があるようなので、念のため。私が伺った話では、版元の社長さんはかなりご年配の方で、以前から体調がすぐれず「余命何ヶ月」という話があったとのことです。今回お亡くなりになったのもその持病の関係と思われ、特に「変死」ということではないそうです。以上、とりあえず都市伝説化の防止のために書いておきます。