前回までの考察の中でとりあげてきた、被害者のクラスメートであるNTさんの、「被害者は3時23分に出て行った」という証言の原文を念のため確認しておきます。
この証言は、昭和38年11月18日の一審第六回公判でのものなので、証言者の記憶もまだ生々しかったものと思います。元の公判調書に誤字・脱字も多いのですが、基本的にそのまま再現していきます。あまりにもあからさまな誤字・脱字には(ママ)をつけておきます。
長くなりますが、要約してニュアンスを失ってもいけないので、全文引用します。
前回までの考察の中でとりあげてきた、被害者のクラスメートであるNTさんの、「被害者は3時23分に出て行った」という証言の原文を念のため確認しておきます。
この証言は、昭和38年11月18日の一審第六回公判でのものなので、証言者の記憶もまだ生々しかったものと思います。元の公判調書に誤字・脱字も多いのですが、基本的にそのまま再現していきます。あまりにもあからさまな誤字・脱字には(ママ)をつけておきます。
長くなりますが、要約してニュアンスを失ってもいけないので、全文引用します。
これまで何回かに分けて川越高校入間川分校の校舎と自転車置場の場所を論じたのは、実は、私がこの証言を読んで感じた違和感についてご説明するためでした。
その違和感とは、要するに、「被害者がいったん学校に戻ってきた時に、自転車置場に自転車を戻すのはめんどくさくないか?」ということです。
上記リンク先の証言が確かだとすると、被害者が午後2:35の授業終了後、HR(ホームルーム)を待たずに自転車をころがしながら教室前を通って学校を出ていったことは明らかです。他方で、裁判でも証言したNTさん証言により、被害者が午後3:23に同様に自転車をころがしながら教室前を通って学校を出て行ったことも明らかです。この2つの「明らか」な証言の整合性を取るには、これまで何度かご説明しているように、また、伊吹隼人さんにも何度かコメントで言及していただいているように、「被害者は、2時半すぎに教室を出たがいったん戻ってきて、3時半に再度教室を出た」というのが最も合理的な説明となります。
しかしよく考えると、いったん戻ってきた時にわざわざ自転車置場へ自転車を戻すのは結構めんどうです。
こちらのエントリでご紹介した、『狭山事件・現地からの報告』 たいまつ社の内容についての続きです。
この証言は、「(被害者)が2時35分の授業終了後すぐに教室を出て行った」という証言を補強するものです。すでに伊吹隼人さんのコメントでも言及していただいていますが、念のため記事で確認してみます。
前回の続きです。遅くなって申し訳ないです。
『狭山事件・現地からの報告』 たいまつ社の内容の詳細についてはこちらをご覧ください。
いくつか検討事項を挙げましたが、とりあえず今回は教室と自転車置き場の位置関係について。
『現地からの報告』本の内容に関しての続きです。
「同級生のひとり」による、以下のような証言が紹介されています。
当日、(被害者)さんは一番先に教室を出て帰って行ったように思う。私たちはまだみんな教室に残っていて、二、三のグループにかたまっておしゃべりをしていたような気がする。(被害者)さんが教室を出て、自転車置場から自転車をころがしてきて、教室の窓の外を通った時、窓越しに誰かと話をしていた。その人が「もう帰っちゃうの」と聞いたら、(被害者)さんが「うん、もう帰るのよ」と答えていたのを、今でも憶えている。
伊吹隼人さんから、1970年代に「狭山市民の会」が現地でかなり突っ込んだ取材、特に、関係者に対する聞き取り調査をしていたとの情報をいただきました。今回の画像は、その「狭山市民の会」(無実の石川一雄さんをとりもどそう狭山市民の会)が編著者となっている本からの引用です。
東京タイムズ記事に関するエントリその2です。今回は、5月7日付のOGに関する記事です。
この記事に関する伊吹さんのコメントは下記の通りです。
一番面白かったのは7日付けのOGに関する記事で、これはどこよりも詳しい内容となっています。
- OGは捜査線上に浮かんでいた
- OG死後、埼玉県警の中刑事部長がOGの遺書を手に記者会見で説明を行った
- OGは婚約者とはしばしば新居でデートするほど仲が良かった
- OGの新居は4月末に完成、5日までには新居の家具を全部運び終わっている
- 新居の建築費用は(OGの)長兄に出してもらった
- 結婚費用に困っており、4月に決まった挙式を5月7日に延期していた
- 事件の日は午後3時頃、新居に寄るのを近所の人が見ている。いつ出たのかは分かっていない
- 死体発見現場付近で自転車のタイヤ跡と地下タビの足跡が発見されており、捜査本部はこれが死体を運ぶ際についたものとみている
- 脅迫状とOGの昭和31・32年度の日記の筆跡には似ている点がかなり認められた
などの記事は他紙では見られないものですし、東京タイムズ記者が相当突っ込んだ取材をしているのは間違いないように思われます。
「(被害者宅)のうら口、台所の窓口に手紙(引用注:脅迫状)がおいてあった」
正月早々に、伊吹隼人さんから「狭山事件に関する東京タイムズの当時の報道が面白い」ということでコピーを送っていただきました。ありがとうございます。読んでみると確かに興味深い記事が多いため、これから何回かに分けてご紹介していきたいと思います。
本日引用したのは、5月4日付の狭山事件発生を報じた第一報です。
報道によると、再審請求の中で石川さんの弁護団が請求していた証拠開示に対して、12月14日に検察が14件の証拠を開示したとのことです。
14件の証拠の中身が報道では今一つわかりにくい状況です。上でリンクした埼玉新聞や朝日新聞の報道を総合すると、
という感じで、結局「犯行現場を特定するための捜査書類」は開示されたのか開示されなかったのか、どっちなんだよと言いたくなります。
「真犯人推理」という観点からは正直なところそれほど重要なものはなさそうです。ただ、弁護団も戦略があるのでなんでもかんでも情報開示するわけにもいかないという事情もあるでしょうし、今後の続報を待ちたいと思います。
石川さんの冤罪を証明する上では強力な証拠になりそうなものは多いので、そちらの面での進展は期待できるのではないかと思います。
本ブログでとりあげている事件に関する同人誌等の通信販売を行っています。詳細はこちらをご参照ください。また、とらのあな通販もご利用ください。