Category Archives: 狭山事件

その他: 山一證券破綻について その2

前回のエントリを書く際に検索していて、『滅びの遺伝子―山一證券興亡百年史 (文春文庫)』の文庫版が出版されているのに気がつきました。

この本の単行本も労作でしたが、文庫本はかなりの部分が追加の取材や資料に基づいて書き直されて、ほぼ書き下ろしと言ってもよい内容になっており、山一破綻に関する資料としては社内調査報告書と並んでもっとも包括的かつ信頼できる資料と思います。著者は冒頭で「以下は私の仮説である」と書き始めていますが、その仮説を構築するために積み重ねた資料と直接取材の量は、単なる仮説を超えて十分な説得力をこの本に与えることに成功していると思います。

文庫本版で、バブル崩壊から山一破綻に関する叙述は398ページから428ページまでの30ページ程度、全体で400ページを超えるこの本の中で1割にも満たない量です。しかし、その叙述は、他のどんな本よりも雄弁に「山一が崩壊した理由」を描写しています。

いずれにしても、昨今の金融危機の中で、前回の金融危機で破綻した「山一證券」という存在に興味がある方には必読の本だと思います。Wikipediaの山一證券の項目も、この文庫本の出版によって全面改訂が必要になっていると思います。私(管理人)はもうWikipediaには書かないと決めたので書きませんけど(笑)。

狭山事件: 被害者とOGの時系列的動向

被害者とOGの当日の行動を時系列的にまとめてみました。事項の取捨選択は私(管理人)の主観によります。時刻については証言者本人が一番最初に言った時間を採用しています。時刻に関しては後で刑札が「つじつまが合わない」として変更させていることも多く、関係書籍ではその変更後の時刻が採用されていることも多いのですが、最初に言い出した時刻には証言者本人なりの根拠があると思われること、「原証言」としての価値があると思われることからその取り扱いとしています。もし異論があればコメントでご指摘ください。

第一ガード、第二ガード、S自転車店等の位置関係については、事件関係地図も参照してください。大きい地図の方でいうと、ほとんどの関係地点が一番左側の方(西武線の線路沿い)に集まっています。

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狭山事件: SG巡査部長の筆跡

SG巡査部長筆跡『真実は細部に』よりSG巡査部長筆跡
次に投下しようと思っていたネタが思ったよりもまとめるのに時間がかかりそうなので、つなぎのネタです。筆跡シリーズです。

SG巡査部長に関してはこちらの記事もどうぞ。彼の八面六臂の活躍は一介の交通課巡査部長としてはあまりにも不自然であり、何らかの形で事件そのものに関与していたのではないかという疑惑を私(管理人)は持っています。

この筆跡を見る限りでは脅迫状の筆跡とは違うようで、脅迫状は誰が書いたのかというのは未だに疑問が解けません。

狭山事件: 小ネタ集

新刊本『46年目の現場と証言』についてちょっと出版時期が遅れるとのことですので、当サイトでも告知させていただきます。

「狭山事件を推理する-近況告知板」にもあるように、年末に現地調査に参加させていただきました。

狭山市駅西口駅前狭山市駅西口駅前
狭山市駅の西口です。すっかり更地になってしまいました。被害者が針刺しを買ったというO糸店もすでに取り壊されてしまいました。

TN自宅TN自宅
TNの自宅です。「近況告知板」の写真の反対側(玄関側)です。ほぼ当時のままと思われます。

I-TR「自殺」現場の踏切I-TR「自殺」現場の踏切
養豚場経営者の弟、I-TRが「自殺」した現場の踏切です。これも「近況告知板」の写真の反対方向です。この写真で、踏切のすぐ向こうに駅(入曽駅)が見えています。I-TRは「川越行きの終電車」に轢かれたので、この入曽駅を出てすぐの電車に轢かれたことになります。発車してこの距離を走った程度の速度で轢かれた人間がそれだけで死ぬものなのか、入曽の駅に停車している電車からでもこの踏切は見えていたのではないか(当時のこの踏切は、木でできたもっと粗末なものであったとのことですが)、さらには(「近況告知板」で触れられている通り)「生体れき断(=自殺)だったのかどうか」など、現場を見るといろいろと疑問は尽きないところです。

狭山事件入門: 脅迫状の筆跡

あけおめことよろです。

脅迫状の筆跡に関して、石川さんの裁判において提出された警察側の鑑定書によると、脅迫状と石川さんの筆跡は一致したことになっています。また、最近2ちゃんねるなどで「脅迫状は石川さんの筆跡とそっくりだ」というような話が出ているようです。一応確認しておきたいと思います。

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狭山事件: 『46年目の現場と証言』 その2

「狭山事件を推理する」サイトの方で、著者インタビューの第二弾が掲載されています。

前回(インタビュー其の一)と併せて、インタビューの中で明かされている内容と本サイトでこれまで検討してきた内容についていくつかコメントさせていただきます。

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狭山事件: 『46年目の現場と証言』

『狭山事件―46年目の現場と証言』という本が2009年早々に出版されることになったとのことです。

「狭山事件を推理する」管理人氏による著者インタビューがサイトの方に掲載されています。このインタビューだけでもいろいろな内容が明かされていますので、興味がある方は是非お読みください。

某「最後の証言」とタイトルは似ていますが(笑)、長年事件に興味を持って調べていた著者が、改めて事件関係者に丹念に取材した結果をまとめた本です。実は、このエントリで書いた「新しい展開」というのはこの本のことでした。ようやく一般に公表できる段階になったということでかなり期待しています。

ちなみに一応書いておきますと、私(当サイト管理人)もこのサイトで狭山事件についていろいろ書いていますが、イヤガラセや脅迫に類することは一切受けたことがありません。メアドもさらしていますし独自ドメインですのでその線から調べればいくらでも私本人にたどり着けると思いますけど。その意味で、下田雄一郎氏がなぜ一切の連絡を絶ってしまわれたのか未だに不思議でもあり、残念なところです。

狭山事件: 石川さんが国連の委員会で証拠開示を訴え

「狭山の風」メルマガによると、狭山事件の容疑者として逮捕され、無期懲役の刑を受けた石川一雄さんが、スイスの国連自由権規約委員会において「日本政府に『証拠開示』をするよう勧告してほしい」という訴えをしたそうです。

石川さんは現在、無期懲役の仮釈放という形で日常生活をしています。刑を終えて自由になっているわけではなく、保護観察下に置かれている上に、今後罰金刑以上の刑罰を受けた場合には無期懲役で刑務所に逆戻りということになります。ご本人の言葉を借りれば「見えない手錠」がついたままの状態ということです。同じ理由でパスポート取得や海外旅行はできないと言われており、石川さんサイドもあきらめていたのですが、今年9月になってパスポート取得が認められ、今回の国連自由権規約委員会への参加という話になったそうです。

これまで何度か触れたように、狭山事件に関して、積み上げると高さ2mにもなる証拠が検察に未開示のまま保管されているとのことで、中には弁護側が何度も開示請求したにも関わらず裁判所と検察が一体となって拒否してきたものもあります。そういった証拠類をすべて開示して欲しいというのが石川さんが今回国連の委員会で訴えたことで、ある意味で日本の司法行政の問題点を浮き彫りにするものです。以前も説明したように、刑札・検察は国民の税金を使って大量の人員を動員し、捜査権を持って証拠集め(時には証拠ねつ造(笑))をしますから、集めた証拠はすべて(弁護側の請求がなくても)開示するのが筋というものでしょう。これに対して弁護側は捜査権も人員も予算もない中で資料集めをしなくてはならないという制約があります。本来は、この証拠集めに関する非対称性を補うのが推定無罪の原則(いわゆる「疑わしきは罰せず」)なのですが、日本においてはそれが守られずにえん罪が生み出され続けているという状況です。

状況はそれとして、このブログ的な本題である狭山事件の真犯人捜しの観点から開示してほしい証拠として、下記のようなものがあります。

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