狭山事件: 当時の狭山市内の中学校

狭山市詳図狭山市詳図(1966年、人文社刊)

前回のエントリの記事で「入間川中学」という名称が出てきました。ところが、文献によっては当日試合があったのは「入間川東中学」になっています。いずれにしても、現在の狭山市立入間川中学校とは別の、現在の狭山市立入間川東小学校の場所(線路沿いの第一ガードそば、川越高校入間川分校や駅からも歩いて5分ほど)にあった中学校であることは間違いないようです。 このあたり、学校の名称と位置について当時と現在ではかなり変遷があり、通称などもあるようで様々な文献や当時の新聞記事ですら混乱が見られます。

そのため、当時に近いと思われる地図で確認しました。以下まとめです。なお、「現在の」という注釈を入れない限り、当時の名称・場所を指すものとします。また、お手数ですが現在の地図(例えばGoogle Map)などを参照していただいた方がわかりやすいかと思います。

(3月8日注記:その後の調べで、以下の記述は全体的に間違いが多いこと、上に掲げた地図は表記が古いことが判明しました。現時点での私(管理人)の考えをコメントに記載しましたのでそちらをご参照下さい)

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狭山事件: 被害者の足取りと野球の試合

東京新聞 昭和38年6月1日付朝刊東京新聞 昭和38年6月1日付朝刊

事件当日(昭和38年5月1日)の被害者の足取りについてはいくつかの証言があります。詳しくは狭山事件を推理するのサイトの方にわかりやすくまとめられていますので、そちらをご参照下さい。ここでは、これまであまり採り上げられてこなかった証言をご紹介します。

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狭山事件: 「プロファイリングで解く重大事件」 その4

『狭山事件 無罪の新事実』『狭山事件 無罪の新事実』

前回のエントリへのコメントで、「狭山事件を推理する」サイト管理人さんより、さのヤに犯人が来たときにA先生もPTA会長と一緒に次姉に付き添っていたという話の出典をご教示いただきました。ありがとうございます。 確かに、上で引用したように、『狭山事件 無罪の新事実』の244ページに

(被害者)の中学の英語担任の(A先生)教諭の参加も大目に見たのもそういうわけである。

という記述がありました。

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狭山事件: 「プロファイリングで解く重大事件」 その3

前回のエントリで論じたとおり、野間宏『狭山裁判』にある先生自身の証言を信用するなら実話ナックルズの説は荒唐無稽で済ませられるのですが、いろいろな証言を総合するとそうもいかないのではないか(可能性として考察する価値は十分にあるのではないか)という気がしてきてしまいます。

最も大きな問題として、A先生が試合のために引率していたと証言している堀兼中学野球部は、事件当日の5月1日には試合がなかったのではないか、という点があります。

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狭山事件: 「プロファイリングで解く重大事件」 その2

まず、事実誤認と思われる点を確認したいと思います。

前後関係から見ておそらく、ここで言及されている「先生」というのは、被害者の中学三年生時代の担任で、事件当日に第二ガード下で被害者を見かけたと証言しているA先生でしょう。被害者の過去の担任でマスコミや事件関係の書籍で採り上げられている「先生」は、この人を除くと高校の先生くらいしかおらず、高校の先生は女性であるために「実話ナックルズ」の記事の文脈から考えて該当しないからです。以下、野間宏『狭山裁判』に叙述されているA先生の証言を中心に検証します。

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狭山事件: 「プロファイリングで解く重大事件」

「実話ナックルズ」2008年3月号で、狭山事件と帝銀事件の真犯人を苫米地英人氏がプロファイリングで解くという記事が掲載されました。この中で、特に、狭山事件に関して「苫米地氏は、いままで誰も提起しなかった驚愕の真犯人像を切り出した」というキャッチコピーがあります。

以下、ネタバレがありますのでまだ記事を見ていない方は見ないことをお勧めします。

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袴田事件: FREE HAKAMADA NOWイベント

また間が空いてしまってすいません。今回は、これまで採り上げていなかった「袴田事件」関連のイベントについて。

「袴田事件」の被告の袴田さんを支援するイベントが2008年1月24日(木)に予定されています。場所は後楽園ホールです。

狭山事件と同様に、常識で考えればありえない冤罪で死刑を宣告されている袴田さんの支援イベントということで、こういった事件に関心がある方には是非このイベントを知っていただきたいと思います。

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津山事件: 下山事件: 新風舎と草思社が民事再生法適用を申請

新風舎が民事再生法適用申請

草思社が民事再生法適用申請

『謀殺 下山事件』の文庫本を出していた新風舎が2008年1月7日付で民事再生法適用を申請したのに続いて、1月9日付で『津山三十人殺し』の単行本版の版元である草思社が民事再生法適用を申請したとのことです。相次ぐ民事再生法適用申請で、この手の良質なノンフィクション書籍を出していた出版社が相次いで事実上倒産するあたりに時代の流れを感じます。

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下山事件: 「秋谷鑑定」 その9

『謀殺 下山事件』『謀殺 下山事件』

さて、今回で下山事件関係はいったん一段落としたいと思います。今回の画像は『謀殺 下山事件』からの引用になります。

「文春秋谷鑑定」において「塩基性でしかもベースではない」という摩訶不思議な記述がありました。この記述の元になったと思われるのが今回引用した部分です。

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