月別のブログアーカイブ: 11月 2010

津山事件: 中島病院

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中島病院旧本館(現・城西浪漫館)

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現在は喫茶室として一般公開されている

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中島琢之医師。おそらく睦雄を診察した

今回も以前訪問した際の写真のお蔵だしです。

都井睦雄は、当初は加茂の万袋医師や只友医師の診察を受けていましたが、津山の中島医師の診察も受けていました(診断は肺尖(カタル))。そのことは睦雄の親類(おばやんの甥)である寺井元一の証言にも出てきます。当時、肺病の人は診断や治療に納得がいかず医師を転々とする人が多かったとのことで、睦雄もそのご多分に漏れなかったようです。

中島琢之氏は津山出身で東京帝大医科大学を卒業し、請われて郷里に戻っていったん病院を開設したものの、最新の医学から取り残されるのをおそれて再び東京へ出たい意向を洩らしていました。すると、友人でもあった地元の銀行家が中心となって、この建物(中島病院旧本館)とレントゲン装置などを含む当時最新の医療機器を揃えて引き留めたため、引き続きこの地で診療を続けることになったとのことです。
そのような経緯から設備・医師とも当時のこの地方では最高峰の評判が高かったようで、睦雄がセカンドオピニオンを求めにわざわざここまで来たのもそれが理由でしょう。

中島病院は現在も津山市内にあり、構内に旧本館がそのまま保存されていて「城西浪漫館」として公開されています。上記は先日立ち寄った時の写真です。どこが診察室だったかわかりませんが、こんなところまで睦雄が来ていたかと思うと感慨深いものがあります。

 

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津山事件: 冬コミ告知 その3

すいません。全然原稿進んでいません。このままだと付録だけで出すことになるかも。

…逆に付録だけの方が喜ばれるかもしれませんが(笑)

前回の続きでいろいろ調べてみると、戦前の「銃砲火薬類取締法」は、基本的に業としての銃砲火薬類の製造販売・輸出入を取り締まる法律であって、個人の銃器所持を取り締まる法律ではありませんでした。少なくとも私が調べた昭和8年版六法全書に掲載されている銃砲火薬類取締法ではそうなっています。そういう意味ではWikipediaの記述は結構適当だなあ、と改めて確認した次第です。

結局のところ、戦前には個人の銃器所持を取り締まる法律は存在しなかったようです。火薬に関しては狩猟法に規定があり、狩猟免許を所持していない者に販売してはいけないことになっていましたが、それも抜け道が多かったようです。睦雄も、警察の手入れで狩猟免許とすべての銃器・火薬を任意で提出した後も、隣村の狩猟免許保持者に依頼して火薬を買ってもらっていました。銃については偽名を使って購入しており、「津山事件報告書」でもそれは問題にされていません。要するに、銃自体の購入には身元確認が必要なかった、ということでしょう。

睦雄に依頼されて火薬を購入した男は、罰金20円という当時としてはかなりの厳罰を食らいました。
重大事件の原因を作ったことで厳罰になったという見方もできるでしょうが、司法当局が同様の犯罪を防ぐ目的で恣意的に重罰を科した、という印象を受けます。このあたりは、市井で話題になった事件には妙に厳罰が下る現在の司法状況と同じニオイを感じます。

他方で、津山事件の後、津山警察署長(警視)と西加茂駐在所を管轄する警部補は退職しました。警部補については、睦雄の親類からの訴えで睦雄の家を家宅捜索したことについて、「大げさすぎる」と現場の巡査を叱責したことが問題になったようです。その一方、駐在所の巡査は異動になったものの退職はしていません。この点においては、当時の警察はまだ健全であった感じがします。現在の警察・検察であれば、まず間違いなく現場の巡査をクビにして、署長や上司は戒告あるいは減給程度で済ませるところでしょう。村木問題で前田検事にすべての罪をかぶせてケリをつけようとしているように。

 

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津山事件: サムハラ神社 奥の宮

いつも大阪に出張したときに泊まるホテルのそばにサムハラ神社があることに、先日気が付きました。「サムハラ神社」は、弾避けに霊験あらたかということで戦前・戦中にかなり広まった宗教です。

「サムハラ」は本当はUnicodeに入っていない漢字(「神字」だそうです)を書きます。こちらのブログにある画像をご参照ください。なにしろPCでは出せない字なので以下「サムハラ」と記述します。

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津山事件: 冬コミ告知 その2

冬コミ用の原稿を書き始めています。

概説的な文章を書くことで、初めて気が付いたことがいくつかあります。

  1. 筑波昭さんは臨場感あふれる襲撃シーンを書いています。しかし、実は、「津山事件報告書」でも都井睦雄が襲撃した家の順番は確定できていないようです。大阪毎日新聞が襲撃順を推定していますが、筑波本とは違う順番です。当時の地図と筑波本の襲撃順を照らし合わせると、筑波本で記述されている襲撃順はあっちへ行ったりこっちへ行ったりと、かなり無駄が多いことがわかります。
  2. Wikipediaでは、明治時代から日本では銃の所持に許可が必要であったように書かれています。しかし、少なくとも昭和13年当時は銃と実弾は狩猟免許なしでも購入できたようです。狩猟免許を呈示しないと購入できなかったのは火薬だけで、免許を取り上げられた睦雄は隣村の知人に依頼して火薬だけ購入してもらっています。

現時点で私は、筑波本はノンフィクションではなく実在の事件を元にしたフィクションであると考えています。そう考えるようになったのは今年に入って「津山事件報告書」の実物を入手してからですが、筑波本のほとんど全てが鵜呑みにできない、再確認が必要な状況ではないかと思います。

ちょっと仕事も多忙になっているため冬コミに間に合うかどうかわかりませんが、折角の機会なのでできるだけ頑張ってみようと思います。

 

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その他: 冬コミ告知 その1

試しに冬コミに申し込んでいたら当選してしまいました。3日目(12月31日)東Q-50bです。3日目ですがエロはありません(笑)。

津山事件関係でコピー本を作ろうかと思っています。「付録」の方が分厚くなりそうで、その分かなりお高くなると思いますが、ご期待に沿える物を作るべく頑張りたいと思います。今後、詳細決まり次第この場で告知しますので、よろしくお願いします。

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その他: 伊吹氏の新連載開始

伊吹隼人氏の新連載が、なぜか「ナックルズ」本誌ではなく「ナックルズ・ザ・タブー」の方に掲載されたとのことです。
ちなみに、「ナックルズ・ザ・タブー」はナックルズ本誌とは異なりB5変形版(ナックルズ本誌より小さい)なので、書店で探すときは注意してください(私も見つからなくて迷いました)。

13歳の少女の「失踪」事件に関するルポです。伊吹氏のルポ自体はいつものとおりの伊吹節なのですが、編集の方で「こういう事件を起こす奴がいるから児童ポルノが厳しくなる」という形で児ポ法関連特集記事の中にはさみ込まれていて、正直ちょっと違和感があります。
現在の児童ポルノ法改正案の問題点は、いわゆる「非実在青少年」が描かれた作品、ならびにその単純所持を罰するかどうかという点にあるわけで、13歳の実在の少女を誘拐する事件とはいわば無関係です。まあ、そういう理論付けをするまでもなく、特集の中でちょっと異質になってしまっているのは一読して明らかですが。

繰り返しになりますが、伊吹氏のルポ自体は、現地での取材を含めたかなりの力作だと思います。ここで詳細を書くのは差し控えますので、機会があればご一読ください。

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