狭山事件: OTくんの目撃証言 その2

毎日新聞 昭和38年5月6日付夕刊毎日新聞 昭和38年5月6日付夕刊

OTくんの証言に関する当初の報道です。OTくん自身の証言は下記の通りです。

  1. S自転車店近くで被害者がうつむきかげんに自転車に乗っているのを見た
  2. そのとき、OTくんは午後1時から西中学で開かれている「学徒総合体育大会」の応援に行く途中だった。(斜体部は原文ママ)

まず、OTくんが目撃した被害者は自転車に乗っていたということは特筆に値するでしょう。同じように3時前後に被害者を目撃したと証言しているA先生は自転車に気がつかなかったと言っていますので、その点で矛盾していることになります。

試合の場所については次回エントリで採り上げる予定の記事で訂正が入っていますので、ここでは深くツッコみません。ただ、午後1時からの試合だったというのには検討が必要かもしれません。これも後で検討したいと思います。

今回の記事で強調したいのは、OTくんが被害者と会ったというS自転車店の位置です。

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このS自転車店は、入間川駅(現狭山市駅)や被害者が通っていた川越高校入間川分校から1km以上、往復だと2km以上あります。当時の人にとって、2kmの距離を歩いたり自転車で走ったりというのはなんでもない距離なのかもしれませんが、それでも「2時30分過ぎに授業が終わって、いったん校外に出た被害者が再度戻ってきた」という仮定を採用する場合には時間的にかなりな制約が発生すると思います。写真で見ても当時の道路事情はかなり悪く、自転車でもおそらくは時速5~10kmがせいぜいのところでしょう。そうすると、1kmの距離は単純計算でも6分以上、おそらくは10分くらいはかかると思います。
被害者が3時23分に学校を出るのを見た、という証言はほぼ間違いないものとして信用できると思いますので、OTくんがS自転車店近くで被害者を見た時間は、3時10分以前(学校に戻って教室に戻るまでの時間を考慮)あるいは3時35分以降ということになります。

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