狭山事件入門: 狭山事件の面白さ

*注: 現在、「狭山事件入門」関連のコンテンツを順次狭山事件関連資料Websiteに移行しつつあります。こちらのブログに残っている記事は内容が古くなっている場合もありますので、ご了承ください。

被害者の写真『無実の獄25年 狭山事件写真集』より、被害者の写真

「狭山事件」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。「知らない」という人も多いと思います。「『となりのトトロ』の原作になったって噂がある事件のこと?」という人もいるかもしれません。また、ちょっと知っている人でも、「なんかよく知らないけど部落差別とかの関係の事件でしょ?学校の社会や道徳の授業とかで聞いたことがあるけど、面倒臭そうだしどうでもいいよ」という人もいるでしょう。しかし、そういう人たちは確実に人生の楽しみの何%かを損していると思います。それほど、この事件は「面白い」。という言い方が不謹慎であれば、「興味深い」のです。特に、このブログに立ち寄っていただいた方は「事件」に興味がある人だと思います。そういう人なら、この事件のことを知れば知るほど、よりいろいろなことを知りたくなると思います。それほど奥が深い事件です。

「狭山事件」を一言でまとめてしまうと、「昭和38年(1963年)5月1日に、埼玉県狭山市で女子高生が誘拐されて殺害された事件」ということになります。このブログで面白いとか興味深いとか言うのは、この女子高生殺人事件そのものに関して、です。一般的に「狭山事件」と言う場合には、「その女子高生誘拐殺人事件の犯人として被差別部落出身の男性が逮捕・起訴されて有罪とされたえん罪事件」を指している場合も多いのですが、そちらについては詳しく解説されたサイトがたくさんありますので別途ご参照ください。このサイトではあくまでも誘拐殺人事件の方を本筋に追いかけていきます。

前置きが長くなりましたが、狭山事件の何が「面白い」のか。大雑把にまとめると下記のようになります。


  1. 事件から45年を経過した現時点でなお、真犯人が誰なのかわかっていません。石川一雄さんが逮捕されて有罪とされましたが、その判決文を読むと物理的にも論理的にもありえないことが大量に書かれていて、「推理」とも呼べないようなものです。本当にこの事件を起こしたのは誰なのか。事件直後から様々な「推理」が提示されましたが、未だに万人を納得させるものは登場していません。
  2. 猟奇
    この事件の関係者(被害者の家族(兄と姉)、容疑者、重要な目撃者など)が次々と謎の死を遂げています。「謎の死」という月並みな言葉を使いましたが、この事件に関しては本当に謎な死に方なのです。公式にはことごとく自殺あるいは事故死として処理されていますが、それをそのまま信じるなんてとても無理だろ常考。という死に方です。
  3. トリック
    事件に際して、奇妙な、当て字を多用した脅迫状が被害者宅に届けられています。例えば「警察」を「刑札」と書いています。刑札ではこれを「知能が低い者の犯行」と見ましたが、その「刑札」でもわかるように微妙に意味が通る当て字で、なおかつ当の刑札自身がこの脅迫状に「車出いく」と書いてあったのを真に受けて身代金受渡し場所で犯人を取り逃がしていたりして、少なくとも刑札よりは知能が高い者の犯行であることは確実です(笑)。
    さらに、身代金受渡場所に犯人自身が現れて、身代金を持ってきた被害者の姉と会話しています。その様子は張り込んでいた刑事たち(複数)も聞いています。その上で犯人は悠々と包囲を突破して逃げおおせています。それを「単なる偶然」と片付けることは可能でしょうが、堂々と脅迫状を出した上に、警官38人の包囲をサクっと突破して逃げる犯人というだけでも推理小説のネタになるでしょう。
  4. 陰謀
    上の「謎」で名前が出た石川一雄さんは、なぜ「犯人」に仕立て上げられなければならなかったのか。あるいは、被害者はなぜ殺されなければならなかったのか。そのあたりにプチ陰謀論の種も大量に転がっています。特に、石川さんを犯人に仕立て上げるにあたっては、数多くの「証拠」がでっち上げられています。このでっち上げは誰が何の目的で行ったのか。そこにも陰謀のニオイをかぎつけることは可能でしょう。

くりか江す(これも脅迫状にあった誤字です)と、これは実際に起きた事件です。しかし、「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、下手な推理小説よりずっと面白い、と私(管理人)は考えています。

とりあえず煽るだけ煽りましたが、私(管理人)が明日から海外出張に行きますので次の更新は5月27日以降になります。すんません。

引き続き、「狭山事件入門」目次もご覧下さい。入門編の各記事へのリンクがあります。

狭山事件に関する本はこちら

9 thoughts on “狭山事件入門: 狭山事件の面白さ”

  1. 管理人様 入門編、ぜひ続けて下さいo(^-^)V。私もビギナーで、最初はアチコチのサイトを読んで混乱気味でしたが、こちらに落ち着き、他を参考資料として整理する事で、私の頭の中の霧が少しづつ晴れて来ています。頭が良くない私は、何かひとつ小さな疑問や閃きが湧いてもサイトを開き確認しないとならないから携帯の電池はいつも空!ですが、とりあえず授業中の内職&頭のトレーニングが出来るから喜んでいます。まだまだ知らない事だらけで、場違いコメも多いですが、今後共よろしくお願いします。出張ご苦労様です。気をつけて行ってらっしゃ〜い(^^)/゛。

  2. 良江さんは、龍馬と同じく誕生日に殺され、実質15年の短い人生だったわけですが、15才くらいの少女が殺される事件は、その後も起きてると思います。それらの事件は、恋情を中心とした少女の交友関係から発生したものが、ほとんどだと思います。ですから交友関係を洗ってゆくと、だいたい犯人が、あがるわけです。良江さんの死に関しては怨恨説が強いわけですが、それは農村共同体の開発や利権を巡って、N家とE作区長が反対派に怨まれ、揺さぶりをかけるために、良江さんの拉致監禁が計画実行され、いわば人身御供として、彼女は殺されたのだという説に、行き着くようです。これだと政治テロというか、処刑ですよね。
    怨恨説の中心は、E作区長の政治意志を変えさせるために、良江さんを殺すわけだからテロ、処刑
    ということになる。でも、果たしてそうなんだろうか。狭山市内の堀兼地区の区長が、農村開発推進に反対の立場を取ったからといって、15才の少女を処刑する政治テロを、日本的心性からいってやるでしょうか。2、3年先に、選挙でひっくり返すとこともできるわけだし、スキャンダルを暴き立てて、批判キャンペーンによって失脚を狙うほうが、リスクの少ない知能犯的手法なんじゃないんでしょうか。
    良江さんは政治テロの犠牲者ではなく、良江さん個人の資質から犯人に怨まれ殺されたんじゃないのか。狭山事件というのも、特殊な政治的事件というより、その後ままある少女殺しと同じような、交友関係のトラブルからおきた事件のひとつなんじゃないか。 営利誘拐でもなく政治テロでもない、デコレーションをはぎ取ったあとに残るのは、結局それなんじゃないでしょうか。

  3. 地方の農村地帯に住むY江さんの、人間関係の幅が広かったとは到底思えません。劇団にも入っていない。バイトもしていない。入間川駅周辺も、繁華街といえるものも、遊興施設と呼べるものも何もない。つまりは遊興から生まれる人間関係もない。要するにY江さんの人間関係といっても、家と学校だけだったと言っていいんじゃないでしょうか。家と学校の往復、それがY江さんのくらしであったとイメージしていいんだと思う。彼女は入間川分校に入学するのだが、そこは女子校で、20日程度通った段階で命を絶たれるわけですが、わずかひと月程で男性と知り合い、死の原因が形成され、殺されるというのは時間が短すぎる気がする。
    殺意の形成というのも、ある程度の時間的経過によって成されるので、入間川分校に入ってから、ひと月のあいだに、初めて知りあった男に、計画的に殺されるというのは、早すぎる感じがする。やはり恋情のもつれによる死と考えるなら、その関係も出会いもそれ以前の、H中学時代に遡るんじゃないのか。
    それじゃH中学時代における、彼女の人間関係ってなんだというと、女性を抜きにするなら、先輩、同級生、後輩の男子生徒との関係。次にくるのは男性の先生との関係。先生は学校における唯一の成人であり、女生徒からみると父親のつぎに、身近に接する大人の男ということになる。次に父兄との関係がくるが、父兄と生徒が会うことはそう多くはない。この中でも先輩や同級生の男子との間には、恋がいちばん生まれやすく、その次に先生が来て、その次が父兄との恋だが、自分のクラスメイトの父親とは、恋はしないでしょう。ただ、お兄さんとの恋はあるかも。Y江さんは、仕事はしてないわけですから、学校以外の別の男性との恋が生まれていたとは考えにくい。つまり、彼女の人間関係は、ほぼH中学内に限定され、そこで男子生徒、男性教師、父兄の誰かとの間に恋情が生まれ、その関係が、卒業後も続き、それを絶ちたいと思った男によって、5月1日、彼女は亡き者にされたんじゃないでしょうか。

  4. 警告です。

    エル=陥=クメラ=忿竪=ランティ=匿名 様へ

    コメント投稿をいただけるのはありがたいのですが、同一IPアドレスからハンドル(名前)を変えて投稿することは世間一般的には「荒らし」と見なされます。貴方の場合文体が独特なのでおそらく読んでいる方も同一人物だと思っていると思いますが、いずれにしてもあまりほめられた行為ではないと思いますので今後はできるだけ同一のハンドルでの投稿をお願いします。

  5. そもそも、狭山事件の被告人はなぜ誘拐罪で起訴されなかったのでしょうか?
    被害者による狂言の可能性が疑われていたからでしょうか?

    よろしければご教示ください。

  6. 「被害者の狂言」ということは、起訴事実にも全く含まれていないのですから、有り得ないでしょう。

    確かに、走る少女の自転車を捕まえて、強引に雑木林に連れ込んだことになっているのですから、行為としてこれは「誘拐」そのものだと思います。ただ、

    ①「ちょっと来い、用があるんだ」という言葉は、「脅迫」に当たるとまではいえない。
    ②凶器等を使用していない。
    ③被害者の年齢が16歳に達しており、抵抗や逃走が全く不可能であったとも思われない。
    ④犯行場所に至るまでの途中、被害者と並んで歩きながら、居所・氏名などを聞き出している。
    (※いずれも確定判決による)

    などから、おそらくは「誘拐の罪までを問うのは困難」とみて、検察もその適用を見送ったのだと思われます。

  7. 伊吹さんに指摘していただいた事実に加えて、あと2つの事情があるのではないかと思います。
    1. 警察・検察が描き、確定判決が追認したシナリオによれば、出会いから殺害までは1時間以下(出会いが午後3:50頃、殺害が午後4:30頃)しかありません。したがって、いったん身体の自由を奪って(略取・誘拐)しかるのちに殺害したというよりも、強盗強姦、強盗殺人を最終目的とした一連の流れの行為とみなすことができるということではないでしょうか。
    2. 当時はまだ身代金目的での誘拐罪が(吉展ちゃん事件や狭山事件の影響で)制定される以前で、営利目的誘拐しか存在していませんでした。身代金目的誘拐罪が最大で無期懲役であるのに対し、営利目的誘拐罪は最大でも懲役10年であるため、無理に誘拐罪を起訴事実に入れなくても量刑に大きな影響はありませんでした。

  8. 下に引用するのは座間事件に関する新聞記事ですが、狭山事件でも同じことが行われていますね。「被害者の親族の誰それが犯人だ」「教師が怪しい」とか「事件の背景には選挙をめぐる権力争いが」「犯人は複数人?」とかいった無責任な妄想をまき散らしてカネを稼ぐ不逞の輩が跳梁跋扈しています。

    管理人さんは「狭山事件の”面白さ”」と書いており、実際それが本音なのでしょうが、遺族も現存している悲惨な殺人事件を「面白い」と表現するあたり、人間的に何か欠落しているのは間違いないですよ。人間として歪んでいる自覚はありますか。同人誌でいくら儲けました? まあ「狭山闘争」を口実に行政から数千万数億単位のカネを引き出した解放同盟に比べれば、儲けは微々たるものでしょうがね。

    =========以下引用=========
    トレンドブログ(その1) 管理人「収益目的」 座間事件「フェイク」証言
    毎日新聞2017年11月20日 東京朝刊

     神奈川県座間市の9遺体事件で、事実無根の投稿を多数載せる「トレンドブログ」の管理人が、匿名を条件に毎日新聞の取材に応じた。動機を「収益目的と世間のニュースやその裏を追いたい気持ち」と説明。ブログを個人で運営し、収入は多い月で10万円台後半という。「フェイクニュース」が生成される現場を追った。

     事件の容疑者名をグーグル検索すると、トレンドブログが目立つ場所に多数登場する。投稿の多くは根拠のない臆測やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のうわさが交ざり、過激な見出しで人権侵害の恐れがある内容も多い。記者は座間市の事件を扱うブログの管理人15人に電子メールなどで質問書を送付。そのうち一人にメールのやり取りで取材した。

     この管理人は自身を「近畿地方の30代男性」とし、事件について特定の親族を「共犯?」としたり、「動機は臓器売買?」「犯人は複数人?」としたりするなど根拠のない見出しや記事をブログに多数掲載する。断定は避けつつ、ところどころに「犯人が複数人ということで、臓器売買ビジネスが目的ということが浮かび上がる」など論理の飛躍した文章を挿入している。

     収益はブログを訪れた読者が投稿の近くの広告をクリックすると発生する仕組み。始めたきっかけを尋ねると、管理人は「ネットでできる副業を探している時に見つけた」と答えた。

     親族を「共犯?」とする見出しの問題点を指摘すると、管理人は「検索エンジンから人にアクセスしてもらいたく、クリックしてもらえるようなタイトルをつけることを意識している」「『共犯!』と断言せず、疑問符をつけて事実ではない可能性が大いにあることを示唆しているつもりだ」「投稿内で『親族が共犯などあり得ない』旨の情報を伝えている」などと釈明。一方で「今後このような関係者への事実無根のバッシングをあおりかねない表現は慎みます」として、投稿を削除した。

     だが、事件関係者のプライバシーを暴く投稿を他にもブログに多数掲載し、運営を続けている。【大村健一】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です