伊吹隼人さんから、事件関係者について2件のインタビューに成功したとのご報告をいただきました。一気に2つ公開するとコメント欄が混乱しそうなので、まず1件目として、事件の重要関係者である「OG」の遺族に対するインタビューを公開します。
「OG」が何者なのかについては以下をご参照ください。
要するに、事件への関与が疑われながらも事件の2日後に自殺してしまった青年です。OGが事件への関与を疑われる理由はいくつかあり、事件直後に自殺してしまったことがその最大の要因ですが、他にも被害者宅に住み込みで働いたことがあったり、被害者が人を待っていた西武線のガードにほど近い事務所で働いていたり、死体発見現場近くに新居を建築中であったりという事情もあります。
特に新居については、事件当時ほぼ完成していてなおかつ誰も住んでいない状態であり、被害者を拘束し、殺害し、埋めるまでの間保管するには最適の場所となっていました。そのため、本人が事件に直接関与していないにしても、誰かに騙されて殺害場所として新居を使われたのではないか、その騙されたことを悟ったがために自殺したのではないかという推理が(伊吹隼人さんをはじめとして)多くの人になされています。
今回インタビューに答えてくれたのはOGの義姉(兄嫁)と、その息子さんの奥様(OGからすると義理の姪にあたる)です。現在OGの実家に住んでいるのはこの2人しかおらず、これ以上に近しい親戚がいるとも考えられないため、OGについてこれ以上の証言を得ることは難しそうです。
- OGは決して悪い人間ではなかった。
- OGは小心で真面目で無口、働き者だった。
- (「新聞記事などによれば、OGさんには離婚歴があったとの話ですが……」との問いに)それは絶対無い。事件の時が初めての結婚だった。
- 「30歳で結婚」というのは別にそんなに遅くもないと思う。OGは特別変わったところもない、ごく普通の人間だった。たまたま縁があって、お見合いをして結婚することになったというだけ。
- (「遺書や日記は残っていないのですか」との問いに)それは見たことがない。今どこにあるのかも分からない。警察が持って行ったなら、返してくれていないのかもしれない。
- OGの写真はまったく残っていない。
- 事件当日の記憶は何もない。OGが実家に泊まっていったかどうかも分からない。
- OGが飛び込んだのは自宅ではなく、隣家の井戸だった。
- 当時はまだ水道が引かれていなくて、井戸を利用していたと思う。
- OGが飛び込んだ井戸はその後埋められて、今は隣家の庭になっている。
やはり事件から50年が経過し、OGが自殺した日のことはともかく、その2日前の狭山事件が起きた日のことはもう忘却の彼方、というところでしょうか。しかし、事件の重要関係者であるOGの家族からの証言が得られたことには、非常に大きな意義があると思います。
また、この証言から、従来「定説」とされてきたことを含めて、これまで言われてきたいくつかの説に疑問符が付くことになりました。
- 「遺書や日記は残っていない」ということになると、当時の報道にある「病気に負けました。すまないことをしました。父母頼む。兄姉様」という「遺書」はどこへ行ったのでしょうか?
- OGを最後に手当てした医師は、OGが飛び込んだ井戸には「水はなかった」と証言しています。しかし、当時実際に井戸が使われていたとすると水はあったことになります。なぜわざわざ「水はなかった」という証言が出てきたのでしょうか?ただし、こちらの井戸の写真を見る限りでは、とても現役で使われている井戸には見えないのも確かです(現役で使われている井戸であれば、釣瓶かくみ上げポンプがあるはず)。
- 「数回結婚や縁談で失敗していて」という話も否定されています。また、「30歳で結婚」に事情があったのではないかということの否定も含めて、私(本ブログ管理人)が以前書いた「OG同性愛説」も成立は難しそうです。
本ブログでとりあげている事件に関する同人誌等の通信販売を行っています。詳細はこちらをご参照ください。
OG周辺から新たな証言が出てくるとは思っていなかったので驚きです。伊吹さんの狭山事件に対する強い執念と継続的な行動力に敬意を表します。
さて、遺書・日記・写真などは存在しないとのことですが、新聞に載った写真の出所も気になります。