事件前日(4月30日)に被害者が次兄から1000円を借りていた件について、コメントで伊吹隼人氏からソースをご教示いただきました。ありがとうございます。
本日の画像は『狭山事件 無罪の新事実』から当該部分です。この本は亀井トム・栗崎ゆたか共著の名義になっており、文殊社グループと亀井氏が共同取材を始めてからの本になりますので、それ以前の亀井氏単著の本よりも事実関係については信頼がおけると思います。従って、この被害者が事件前日に次兄から1000円を借りていたという話は、事実として扱ってよいと考えます。
その前提で話をすると、本日引用した中で
次兄の話であるが、「(被害者)は事件前日、非常に金を欲しがっていた」というのである。欲しがった金額は千円。
という部分がどうしても引っかかります。
1963年のゴールデンウイークは、4月28日(日)、29日(月・祝)、5月3日(金・祝)、5日(日)という飛び石連休(こちらのエントリをご参照ください)でした。5月4日(土)は半ドンですが学校も会社もありました。5月3日あるいは5日にどこかに出かける予定だったとすれば2日に金を調達すれば済む話で、4月26・27日に次姉や兄(おそらく長兄)とお金の件でけんかをしたあげく、30日に次兄に1000円を無心したというところから、被害者はどうしても事件当日の5月1日にお金が必要だったように思います。
善枝さんの日記の記述をどう捉えるかは、人それぞれの感覚で異なってくることと思います。ただ、「これからのバカンスのことを考える」という一文や、4月26・27日の時点ですでに次姉・長兄と言い争っていること、「ゴールデンウイークのこづかいが少ないことで(善枝さんが)悩んでいた」という次姉の証言、金額の大きさなどから考えると、これは5月1日のみを想定してのことではなかったように思えます。あるいは、これは5月3日・5日、または午後半休の5月4日や4月29日(祝日)までの分も含めて必要、ということだったのではないでしょうか?もちろん、5月1日にしても誕生パーティに招かれていたとすれば、いくら招待される側とはいえ、最初から金を持たずに行くというのは普通有り得ないでしょう。4月30日にそれまで相談していなかった次兄に金を無心したのは、その日がぎりぎりのタイムリミット、ということだったのではないかと思います。
はじめまして。ちょっと思いついたので、コメントをさせていただきます。
昨日アップされた女性自身の記事を読むと、5月20日に後楽園球場で巨人戦を観戦するつもりだったようですから、その往復の交通費および前売り券の代金という可能性は考えられないでしょうか?
初めてコメント質問させていただきます。
昭和30年頃の千円とは、女子高生がチョット借りて返せる金額だったのでしょうか?
当時は今の様に「学生アルバイト」も豊富ではないし、高校生がアルバイトするのも学校の許可制とか気軽に出来る状況じゃなかったのかと推測するしだいであります。
Yさんはお小遣いをどのくらいもらっていたのかなあ?
事件に直接関係ないと思いますが、まだ生まれてなかった者に当時の風俗を教えていただくと幸いです。
>>2
>5月20日に後楽園球場で巨人戦を観戦するつもりだったようですから、その往復の交通費および前売り券の代金という可能性は考えられないでしょうか?
該当の記事部分は「今年は後楽園で王さんに会いたい」「(5月20日は)王さんの誕生日だ」となっているだけで、「5月20日に後楽園に観戦に行く」とはどこにも書かれてありません。それに、往復の交通費+前売券ということであれば、、「これからのバカンス」「ゴールデンデンウイークのこづかい」という文脈からも外れてくることになるかと思います。「野球観戦費用」という可能性は全く無いでしょう。
>>3
>昭和30年頃の千円とは、女子高生がチョット借りて返せる金額だったのでしょうか?当時は今の様に「学生アルバイト」も豊富ではないし、高校生がアルバイトするのも学校の許可制とか気軽に出来る状況じゃなかったのかと推測するしだいであります。Yさんはお小遣いをどのくらいもらっていたのかなあ?
善枝さんは普段でも放課後クラブ活動をやっていて「帰るのは5時半、遅くても6時頃」(父・栄作さん)、ちょっと立ち話をしてそれより遅く帰れば「姉が(早く帰って家の手伝いをしないことに)怒って口もきこうとしない」
(善枝さんの日記より)という状態だったのですから、アルバイトをすることなど不可能だったでしょう。そもそも、その頃は女子高生のアルバイトなどほとんどなく、大半の学校でもそれをすることは禁じていました。女子高生の小遣い金額の平均はだいたい400~500円くらいでしたから、千円借りて返済するのはかなり困難だったと思われます。次兄は昼間アルバイトをしていて多少の金を持っていたようですから、これは「貸した」というより、誕生祝いを兼ねて「与えた」ものとみてよいのではないでしょうか?
読み直してみると、確かに伊吹様の言われるとおりでした。大変失礼いたしました。
>伊吹さん
コメントありがとうございます。というか何か管理業務をさせてしまっているようで申し訳ないです。
今回のタイトルが(も?)ちょっとミスリードでした。次兄が被害者に1000円を渡したのは確かなようですが、それが貸したものなのか、あげた(与えた)ものなのかは判然としません。どちらかというと「あげた」寄りでしょうか。当事者が二人とも帰らぬ人となった今となっては永遠に確定できないことですが。
1000円の解釈についても、伊吹氏ご指摘の通り人それぞれの主観が入らざるを得ないところです。私としてはやはりエントリ本文に書いたような解釈をとりたいところですが、ご指摘のような解釈も充分に納得ができるところです。いずれにしても、
ということはほぼ事実として確定してよいと思います。このことは、被害者が年上の男と付き合っていたとか、当日呼び出したのもそういう男だとか、果ては長兄との近親相姦の末にどうこうという推理に対する反証になるものだと思います。
5月1日に誕生日を祝ってくれるといったら、仲良しの人たちだろうし、H中からのつながりでしょう。Yさんと同世代でしょう。でもそのひとたちが、なぜYさんを計画的に殺すんだろう。同級生の複数の少年たちが、イメージされるけれども。
私も、被害者と中学時代同期だった「誰か」が犯行に関与していたのはほぼ確実、
と考えています。
大まかに言うと、現在は「善枝さん―狭山工業高校生徒」「善枝さん―堀兼中野
球部OB」という2つの線が浮かび上がってきています。
ただ、なぜその人物が善枝さんの「呼び出し」を引き受けたのかまでは分かりま
せん。
まあ、普通に考えれば個人的に面白くない感情を持っていたか、金を受け取った
か、のどちらかになると思いますが・・・。本人にしても、まさか殺人事件にま
で発展するとは思っていなかったのかもしれませんね。