Tag Archives: 雑感

冤罪事件一般: 文藝春秋の村木厚子氏手記

今売りの文藝春秋10月号について。下山事件関係は正直目新しい情報が何もない記事でした。しかし、この村木さんの手記(「手記」と言いつつ、江川紹子さんが取材・構成となっているので、実際に書いたのは江川さんのようですが)はなかなか興味深く、これだけで780円以上の価値はあると思います。

村木さんと言ってもわからない方のために。元厚生労働省雇用均等・児童家庭局長だった方で、大阪地検特捜部に全くの捏造の冤罪容疑で逮捕され、1年以上も勾留されたあげくに無罪判決が出た方です。

先般逮捕された前田検事の話も出てきます。村木さんに口添えを依頼したとされる石井議員が、そのような事実はないことを証明するために、事件があったとされる2004年の手帳をすべて用意して前田検事の聴取に臨んだところ、彼は全く興味も示さずに検察のシナリオ通りの供述を引き出すことだけに注力していたとのことです。

典型的な冤罪のパターンだと思います。「優秀な検察官」というのは、検察のストーリーに沿った供述を手段を選ばずに取ってくる検察官のことを指すのだそうですが、そのような意味で最優秀検察官であった前田検事が逮捕されたことを、検察という組織はどのように考えているのでしょうか?

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その他: 徒然草

世にかたりつたふる事、まことはあいなきにや、おほくはみな虚事なり。あるにも過ぎて人はものを言ひなすに、まして年月すぎ、境も隔たりぬれば、言ひたきままに語りなして、筆にも書きとどめぬれば、やがてまた定まりぬ。

(徒然草)

世間で語りつたえる事は、ほんとうの事実はつまらないのか、たいていはみなでたらめだ。人は、事実以上にものごとを言いたてるうえに、まして年月もたち、場所もかけ離れたところだということになると、言いたいほうだいにでっちあげて、文章にまで記録してしまうと、それでもう事実ということになるのだ。

小西甚一『古文研究法』(上記・徒然草の文章の現代語訳)

学生時代の参考書を読み返していたら、非常に含蓄のある言葉が目に付いたので、今更ですが書き留めておきます。狭山事件でも、下山事件でも、津山事件でも、この言葉に当てはまる本や人が容易に思い浮かびます。

「年月すぎ、境も隔たりぬれば、言ひたきままに語りなして、筆にも書きとどめぬれば、やがてまた定まりぬ」
この言葉は、本ブログを続ける限り心に留めておきたいと思います。

 

その他: 女子プロ野球について

nikkansports19510304日刊スポーツ昭和26年3月4日付

先日またトトロがTV放映されたようで、それに合わせてまたアクセス数が一時的に爆発しました。

が、それは無視して(笑)、前回の続きで淡々と女子プロ野球についての話です。単にこの機会に書いておかないと忘れてしまいそうなので。

今年(2010年)発足した日本女子プロ野球からさかのぼること60年前にも、日本に女子プロ野球がありました。前回も書いたように、私はこのいにしえの女子プロ野球についてWikipediaに書いたことがあります。書いた当時は「女子プロ野球」の記事名だったのですが、今回発足した女子プロ野球との関係もあって現在は「日本女子野球連盟」の記事名に変更されています。

元々、この記事については、こちらの参考文献の項目でも挙げた、『女たちのプレーボール』、『私の青空』、『プロ野球選手はお嬢さま』という3冊の本を元に書きました。しかし、その後の調べで、Wikipediaに私が書いたことの一部が事実と反することが判明しました。基本的にWikipediaにはもう書かないことにしているので、こちらにメモとして残しておきます。

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その他: 女子プロ野球と東京生命球場

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東京生命球場で練習するレッドソックスの選手たち(桑原稲敏著『女たちのプレーボール』より)

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東京生命球場で行われた紅梅ミルクキャラメル入団テスト(打席に立っているのは特別審査員の別所毅彦)(桑原稲敏著『女たちのプレーボール』より)

先日、ネットをうろうろしていたら「川俣晶の縁側」というサイトに「解決編・1951年5月に完成した新宿西口にあった東京生命球場の位置と理由を(ほぼ)確定!!」という記事を見つけました。

この記事の冒頭に出ているWikipediaの「女子プロ野球」の項を書いたのは私(本ブログ管理人)です。そのため、以前からこの東京生命球場については興味があり、関連記事も含めて大変興味深く読ませていただきました。なお、Wikipediaの「女子プロ野球」の項目は、最近(2010年)発足した日本女子プロ野球との関係で、現在は「日本女子野球連盟」に移動(名称変更)されています。

特に、東京生命球場の場所の特定やニュートーキョーとの関係、航空写真のあたりは読んでいて興奮させられました。この辺に興味がある方(少ないかもしれませんが……)は、是非とも関連記事を含めてご覧になることをお勧めします。

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その他: 札幌市教育委員会 御中

以下のしょーもないコメントは、名前を変えていますが全て同一IPアドレス202.221.129.10からの書き込みです。

そのIPアドレスをWHOISしてみたところ、以下のような状況でした。

Network Information: [ネットワーク情報]
a. [IPネットワークアドレス] 202.221.129.0/28
b. [ネットワーク名] SPR-ED-NET
f. [組織名] 札幌市教育委員会
g. [Organization] Sapporo Board of Education
m. [管理者連絡窓口] YT11426JP
n. [技術連絡担当者] SK12891JP
p. [ネームサーバ]
[割当年月日] 2002/01/15
[返却年月日]
[最終更新] 2009/08/17 14:50:08(JST)

IPアドレスでググってみると、このIPでいろんな掲示板に書き込みしたりHPを見に行ったりしてるようです。

札幌市教育委員会の内部から書き込みしてるのか、教育委員会からどこかの学校に貸し出したIPで生徒が書いてるのか、はたまたプロキシか何かを運用していてどっかの誰かにクラッキングされてるのか、事情は存じ上げませんが対策した方がよろしいんじゃないでしょうかね。書き込みしている時間も真っ昼間だし。

その他: 東京都青少年健全育成条例の審議における前田雅英氏の捏造発言

保坂展人さんのブログで、東京都青少年健全育成条例を審議した部会の部会長である首都大学東京の前田雅英教授が、保坂氏の国会委員会における対話を捏造してまで創作物規制論を進めたことが書かれています。

さもありなんというか、児ポ法を含めて創作物の単純所持規制を推進している人たちの人格や品性がよく現れている話だと思います。今回は国会委員会の議事録が残っていたので簡単に検証ができ、捏造であることが明らかになりましたが、これが記録に残らない話であれば「保坂氏が児童ポルノを推進しようとしてアグネス・チャン氏に論戦で圧敗した」という前田雅英氏の捏造が一人歩きして、保坂氏の人格や能力を貶める結果になったものと思われます。

前田教授をはじめとする規制推進派の人たちは、目的のためなら証言や証拠を平気で捏造することが実証されたと思います。青少年条例や児ポ法が成立したら、この調子でガンガン証拠が捏造され、冤罪が生み出されていくことでしょう。

冤罪事件における証拠捏造がいかに簡単に、一般的に行われているかについては以前のエントリで書きましたので、そちらをご参照ください。

その他: 日垣隆という人

twitterを始めてまだ1週間もたっていないのに、いろいろと面白いものを見せていただきました。以下、事件とは無関係ですがまとめておきます。

twitterにはRT (ReTweet)という機能があります。他人のつぶやきを引用して自分のコメントを付けたり、あるいは面白いと思ったつぶやきをそのまま流したり、ということができます。で、他の方がつぶやいた

「フリー」「フリー」と騒ぐけれど、日本ではそのトップランナーともいえる「R25」が、今や大苦戦。昨年の11月には50万部減。今年一杯もつか。

という内容に対して、私(当ブログ管理人)が

フリーペーパーの判断基準は部数じゃなくて広告費。いずれにしてもR25が廃刊寸前なのは同じだけどw

と書いたのがコトの発端です。

そこからのやりとりは、外部にまとめてくださったサイトがあるので、下記のリンクをご参照下さい。
「とてつもなく日本」
(注)リンク先で、赤字が私の発言、オレンジが相手の発言です。

私としては、なぜフリーペーパーを部数を基準に論じても意味がないのか、懇切丁寧にご説明したつもりでした。それに対して先方からいただいたご返事は

これまた何を、おっしゃってあそばせか。地球一周して出なおしてこいよ。さらばじゃ、幼稚園坊主。

何言ってんだ、こいつ。園児か。日本のヘボ教育の犠牲者またひとり。嗚呼。

という、一方的なレッテル貼り&罵詈雑言でした。

別に阿諛追従や同意を求めているわけではありません。きちんとした反論は大歓迎です。しかし、そういうのをすっ飛ばしていきなり園児呼ばわりですから、かなり面食らいました。

「なんなんだこの人」と思って相手を確認してみると、日垣隆氏という「文筆家」の方でした。その時点では、売り言葉に買い言葉でこちらもイヤミを書きましたし、「まあ忙しいだろうし、こちらの書いてること読んでないんだろうなあ。こういう芸風なんだろう」と、そのまま終わりにするつもりでした。

ところが、今日になって上の「とてつもなく日本」にやりとりを転載していただいているのに気がついて読み返してみると、

日垣隆氏が、私に対する罵倒のつぶやきだけを削除していることに気がつきました。

念のため、日垣氏が削除したつぶやき(内容は、上に引用した園児呼ばわりの罵声)のURLを書いておきます。

このURLが私の捏造ではなく、日垣氏が一方的に削除したものであることは、「とてつもなく日本」にも同じURLが書かれていることでわかると思います。

これでかなり頭に来ました。対話をしている他人(上のリンク先のまとめを読んでいただけるとわかりますが、「論争」にすらなっていません。当方としては普通に「対話」をしていたつもりです)をいきなり罵倒するのはいいでしょう。ご本人が「そういう人だ」と周囲に思われるだけですから。しかし、いやしくも売文を生業とするお方が、いったん自分が書いたことを一方的に削除するのはいかがなものかと。

とりあえず、客観的事実だけ淡々とまとめておきます。

  • 日垣隆氏は、普通に対話をしている相手にいきなり「幼稚園児」などと一方的にレッテル貼りをして罵倒する方です。
  • 日垣隆氏は、都合が悪くなると自分自身の発言を一方的に削除して、恬然として恥じない方です。

私は文筆業ではありませんが、それでも余程のこと(例えば裁判所から削除命令が来るとか)がない限り、自分の発言を無断で削除するような無責任なことはしたくない、と常々考えております。おそらくは日垣隆氏は全く異なる価値基準をお持ちなのでしょう。

その他: あけおめ

IMG_1669今更等身大ガンダム

あけましておめでとうございます。

とりあえず時候のご挨拶だけ。写真は今更ですが去年お台場で公開されていた等身大ガンダムです。

あと、Twitterはじめました。PCで本ブログをご覧になっている方は、右側のメニューの下の方にTwitterのブログパーツを置いたので見てみてください。こちらは事件関係の話ではなく、日常の雑感が多くなると思います。

津山事件: アルネ津山問題

しばらく更新できそうにないと書いた舌の根も乾かないうちの新エントリですいません。

「アルネ津山問題」というのが存在することを先日初めて知りました。

津山市の中心部に存在している総合商業・文化施設「アルネ津山」について、税金の無駄遣いだからヤメろという話があり、2005~2006年の市長リコールと出直し選挙はそのあたりが争点だったようです。

そのへんの政治的なお話しは、地元住人ではない私(本ブログ管理人)にはよくわかりません。しかし、個人的に2005年くらいから津山事件の調査を本格的に始めたこともあって、アルネ津山問題には共感できる部分もあります。アルネ津山は津山市の中心にある商店街のアーケードと続いています。商店街の駐車場にレンタカーを駐めてアルネ津山にある図書館へ歩いていく最中に、地方都市によくあるシャッター商店街を実感しました。インター近くにあるジャスコや、さらに郊外のホームセンター・スーパーの盛況も見ていますので、市の中心部に税金を投入してデパートを誘致するというやり方の有効性にはかなり疑問を感じたことも確かです。アルネ津山は隣接して音楽文化ホールも抱えており、私が訪問したときも地元の高校の音楽部による発表会が組まれていました。単純に商業的・経済的な問題だけを語るのは間違いかもしれません。しかし、結局のところ、よく言われる「ハコモノ」だけ作って中身のソフトをないがしろにしたツケが、ここでも「アルネ津山問題」として噴出しているのではないかと感じました。

ここで一つ提言です。現時点で、津山市近辺に津山事件に関する常設展示は存在していません。「八つ墓村」という大ヒット映画の題材にもなったこの事件を観光資源として活用しないのは、あまりにも「もったいない」と考えます。例えば、アルネ津山の中にある津山市立図書館にコーナーを設けるとか、加茂町歴史民俗資料館に常設展示を作るとか、その程度でもある程度の誘客効果はあるでしょう。常設までいかなくても、大手旅行代理店とタイアップして「津山事件ツアー」を組めば、それなりの誘客効果はあると思います。洋学博物館やその他の津山市として売り込みたいものと組み合わせて、例えば「津山ホルモンうどんと津山事件を訪問する2日間」でもいいと思います。

「このような凄惨な事件を見せ物にするのか」という遺族感情から来る反対意見はあるでしょう。しかし、このような凄惨な事件(私が知る限り、世界でもトップ5に入る大量殺人事件です)だからこそ、現代にも通じる教訓や、現代人にも共感できる部分があると思います。

「負の世界遺産」というものがあります。広島の原爆ドームや、アウシュビッツの収容所など、人類がこの世に引き起こした悲惨さを後世に伝えるために「世界遺産」に指定されたものです。津山事件に関しても、内容に充分配慮する必要はありますが、地元に相応の利益を配分しつつ観光資源化する方法はあるのではないかと考えます。関係各位のご検討をいただけると幸いです。