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2008-05

ウエストコーストオフェンス

  • 2008-05-11 (日)
  • 未分類

【意味】
West Coast Offense。一言で言えば、「ショートパスを多用するオフェンス戦略」のこと。

伝統的なアメフトのオフェンス戦略というのは、まずランプレーで攻めてディフェンスの注意を前に寄せておいてから、おもむろにその後ろにロングパスを通すというもので、パスはあくまでもロングゲインを狙うものであった。しかし、ロングパスの成功率は通常65%程度と言われ、確実性に欠ける、淡泊な攻撃となりやすい。

それに対してウエストコーストオフェンスでは、5ヤードから10ヤード程度のショートゲインを狙うパスを多用するのが最も大きな特徴となる。レシーバーの走る位置と投げるタイミングを正確に決めておくことで、パスの成功率を80%以上にまで高めるというのが元々のアイデア。そこまで成功率が高くなると、いきおいディフェンスはショートパスのカバーに注力せざるを得ず、それに気を取られている間にランプレーやロングパスを織り交ぜていくというのが基本戦略となる。

一般的には、1980年代の黄金時代の49ers(ビル・ウオルシュヘッドコーチ、QBはジョー・モンタナとスティーブ・ヤング)がこの戦法を使ったのがWest Coast Offenseの語源と言われている(下記「経緯」参照)。

1つ1つのプレーが複雑となり、かつ各プレーヤーは正確に細かい動きを実行する必要があるので、ハドルの中でQBがプレーを伝達することが非常に難しい。そのため、試合開始からある程度(15プレー程度)の間はどういうプレーを行うかが試合前に決められていて、各プレーが成功しようと失敗しようとそれを忠実に実行していく。そのことは、3rdダウンロングでランプレーなど、それまでの常識では考えられないプレー選択を行うことにつながり、成功すればより大きな混乱をディフェンスに与える。

【各プレーヤーに求められる能力】

  • QBには強肩よりも、コントロールとレシーバーの誰に投げるかの判断力が求められる。
  • WRには走力やCBを抜き去る運動能力よりも、プレーを理解して忠実にコース取りをできる知力と、密集の中に投げこまれた時でもキャッチできる確実性が求められる。ちなみに、このためにウエストコーストオフェンスにおけるWRプレーヤーは、伝統的オフェンスのWRよりも選手寿命が長くなる傾向がある。
  • RBはランプレーの能力も求められるが、パスコースに出てショートパスを取る能力や、セーフティーバルブとしてのスクリーン的なプレーでパスを取ってから走る能力も求められる。

【経緯】
「ウエストコーストオフェンス」という名前は、もともとは1970年代に使われた「Air Coryell」システムに対してつけられた名称だった。これは、オフェンスのフォーメーションや、ランならどのコースを走るか、パスならレシーバーはどう動くか、どのタイミングでパスを投げるかなどを、「Pro Left 25 Power」あるいは「I Y-Motion 245 H-Swing」などのように簡潔にまとめてハドルの中で伝達するものだった。これによって、複雑なフォーメーションを簡単にミスなく伝達できるようにすると同時に、伝統的なポケットからのロングパスではなく、タイミングのショートパスをプレーに取り入れやすくなった。1970年代から80年代はじめにかけて、サンディエゴ・チャージャーズやオークランド・レイダースがこれを応用して好成績を上げたことを、90年代になってバーニー・コーザーが「West Coast Offense」と呼んだのがもともとの名称の始まり。

ところが、Sports Illustrated誌が、その名称を、80年代に49ersのビル・ウオルシュヘッドコーチがショートパス多用の戦法を使って成功したことを呼んだものと勘違いして、その勘違いの方が一般的に広まってしまった。ビル・ウオルシュ自身は自分が確立した戦法に「West Coast Offense」という間違ってついた名称が使われることに抵抗があったらしいのだが。

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